アマゾン・プライムビデオ

 ファイアスティックを数ヶ月前、確かセールの時だったか購入。あまり自由な時間もないのでそのまま放置していたのだが、少しずつプライムビデオを観始めるようになってきている。最近はあまりTSUTAYAにも行かなくなっているのと、なんとなくレンタルを借りるまでもないもの、あるいは借りそびれてそのままになっているもの、特に邦画系とかを観るようになっている。
 家にいて翌日休みという時には、ちょうどいいかもしれない。途中でつまらないなと思ったらやめてしまえばいいのだ。そういう気軽に視聴できるという意味では、プライムの見放題はちょうどいいかもしれない。さらにいえば新作映画もTSUTAYAでレンタルするのとほぼ同じ金額で視聴可能というの楽といえば楽。かってのカウチ族(古いな)に最適なサービスなのではと思う部分もある。

「メッセージ」

メッセージ (字幕版)

メッセージ (字幕版)

  • 発売日: 2017/09/20
  • メディア: Prime Video
 中国資本介在しているという話を聞いたことがある。映画の中での中国がキーとなっている。地球外生物との遭遇、その対応にあたるのが女性言語学者というのが少し新しい視点、切り口となっている。
 主人公が頻繁に襲われる過去のフラッシュバックが、実は予知夢であるというオチは意外性があるとはいえるかもしれないが、やや微妙である。深夜に観たせいか途中で少しだけ寝落ちして観直した。そういう意味ではややダレる感じもある。まあ静的なタイプの映画なのでこれは仕方ないかも。体調がよければ通して観れたとは思う。主演のエイミー・アダムスは典型的な美人女優なのだが、すでに43歳。落ち着いた雰囲気のよい女優になっている。10年前に「魔法にかけられて」に出演した時には、ただのキレイなお姫さん役を演じたただのキレイな女優さんだったのだが、随分と雰囲気が変わった感がある。
 映画は8部門でオスカーにノミネートされ音響編集賞を受賞しているようで、かなり評価の高い映画なのだが、SF映画としての深み、映像表現の進取奇抜さといった点ではさほどという感もある。観るものの趣向によって評価が別れる作品。

「凶悪」

凶悪

凶悪

  • 発売日: 2014/04/25
  • メディア: Prime Video
 山田孝之の演技力、リリー・フランキーピエール瀧といった芸達者に支えられた、それが総ての映画かもしれない。とにかくピエール瀧の怪演が凄い。途中まで電気グルーヴピエール瀧であることに気がつかないほどに、個性的な舞台俳優かと思わせるような演技だった。映画の出来はというと、ストーリー、展開、演出、すべてにおいて凡庸かなと思う。

「白ゆき姫殺人事件」

白ゆき姫殺人事件

白ゆき姫殺人事件

  • 発売日: 2014/09/03
  • メディア: Prime Video
 湊かなえの小説の映画化。前から気になってはいたのだが、観そびれていた映画。これはかなり面白い映画になっている。未読ではあるが、多分に原作の面白さによっている部分もあるのかもしれないが、単純なお話を見事に複層化している。
 出演者も割と類型的な役柄ばかりなのだが、その中にあって主演の井上真央の演技は見事。ただ可愛いだけの女優を完全に脱したのではないかと思う。同様にただの美人女優であったはずの貫地谷しほりも出番は限られているが面白い役柄をきちんと演じている。狂言回しともいうべき綾野剛共々なかなかに良い演技をしていると思う。
 そういう意味でいうと、若手の俳優もそこそこに演技力のある人が揃っているのだなと再認識させられた部分もある。監督の中村義洋は『アヒルと鴨のコインロッカー』、『チーム・バチスタの栄光』、『ジェネラル・ルージュの凱旋』、『ゴールデンスランバー』などを撮った監督。コンスタントに、かつそこそこに面白い映画を撮る監督だと思う。
 最近は映画を観ていても監督を意識して観ることなどほとんどなくなっている。かっては監督買いというか、気に入った監督の作品を追いかけたものだ。そういう意味では、きちんと監督を意識しながら映画を観る必要もあるかもしれない。

「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」

  いずれも中村義洋監督作品だが、これは単なる偶然。ただただ竹内結子が好きだというそれだけで観た。この二本は実はDVDも持っていてそれこそ何度も観ている。特に気に入っているのは『ゼネラル・ルージュ』の方だ。これは多分にキーとなる相手役が吉川晃司よりも堺雅人のほうが圧倒的に魅力があり、演技力も確かであるということが総てかもしれない。
 この映画は竹内結子のトボけた雰囲気と阿部寛の怪演によって支えられている。二人の掛け合いがほぼほぼ総てかもしれない。そこに亡くなった野際陽子國村隼平泉成といった芸達者たちがからむ。その部分だけでこの映画は成功しているのではないかと思っている。
 竹内結子は多分日本を代表する女優の一人だと思う。美人で演技力もある、第一人者だ。シリアスな役柄もコメディも見事にこなしていく。ただ彼女の良さが際立つのは実はコメディではないかと思う部分もある。ゆるい、トボけた役柄だと彼女は本当に上手い。一級のコメディエンヌなのではないかと思うことがある。そのへんがこの映画を気に入っている理由かもしれない。

「ソロモンの偽証」前後編

ソロモンの偽証 前篇・事件

ソロモンの偽証 前篇・事件

  • 発売日: 2015/08/05
  • メディア: Prime Video
 
ソロモンの偽証 後篇・裁判

ソロモンの偽証 後篇・裁判

  • 発売日: 2015/08/05
  • メディア: Prime Video
 宮部みゆきの一大長編小説の映画化。文庫本で全6巻となるこの小説を前編、後編の二本立てにした映画。正直、相当にしんどい映画でもある。脇を固める大人の演技陣は見事なのだが、しょせん物語の中心となるのは中学生の子ども達である。いわば壮大な中二病群像劇である。これは正直きつい。子ども達を使って効果的な物語を作るのは、時間や場所を制限されたある種凝縮された生の一瞬みたいな部分ではないかと思う。このような長尺で子ども劇をやらされては観ている側としては、いろいろ粗が見えてくる。しょせん演技のできない子ども達の学芸会である。
 という訳で比較的小説、映画とも評価の高いらしいのだが、あまり評価は出来なかった。いじめと子どもの心に巣食う闇の部分を見事に描いたという意味では、宮部の才能をどうのいうことはないとは思う。これはまさしく叙述によって成立する物語、小説であることが前提だと思う。
 前編、子どもを中心とした長尺の映画はやはり難しい。子ども達に完璧な演技を求めるのは酷であるし、芸達者な者や演技に天賦の才能を持つ者もいるにしろ、そうしたタレント数十人も集めてくるのはまず難しいだろう。子ども達は生きることにも稚拙なのである。それが子ども達だ。そうした子ども達の稚拙さをうまく切り取ってこそ、子ども達をメインに据えたドラマは成立する。この長大な尺では難しい。案の定、後編の模擬裁判はまさしく模擬裁判、学芸会と堕している。学芸会をスクリーンで延々と見せられても正直困る。そういうものなのだ。
 出演者の中では主役の藤野涼子はやはり素晴らしい才能だと思う。蒼井優を思わせるような凛とした個性的な佇まいは将来どんな女優になるだろうと想像させる。本当に楽しみである。ただし14歳にしてこんな演技、代表作を作ってしまっただけに、これから大変だろうなと思う部分もある。まして彼女の芸名はこの映画の主人公の名前をそのままとっている。これって失敗なのではないかと思う部分もある。
 彼女は今後、このデビュー作を背負ってキャリアを築いていかなくてはならない。ましてその芸名は常にデビュー作を想起させる。随分と罪作りなことをしてしまったもんだと思ったりもする。とはいえ彼女がその天賦の才能をこれからのキャリアによってさらなる高みで開花させたとすれば、これからの彼女が演じるであろう作品によって、デビュー作のイメージを消し去る可能性もあるかもしれないと思う部分もある。まあ今後が楽しみな女優さんだ。