車屋美術館〜「世界の巨匠が子どもだった頃」

 日光の帰りに立ち寄った小山市立美術館。
小山市立車屋美術館 - Wikipedia
http://www.city.oyama.tochigi.jp/shisetsu/bunkashisetsu/kurumayashisetu.html
 サトエ記念美術館でここの展覧会のチラシを見てちょっと行ってみたいと思った。まあ日光の帰りに寄れるかなと思った。いつもだと日光での宿をチェックアウトすると、だいたい宇都宮美術館や栃木県立美術館へ行くことが多いのだが、今回は小山まで下道で行ってみた。宇都宮からだいたい小1時間といったところか。
 この美術館はウィキペディアにあるとおり旧家の古民家、それも米倉を改造したところだという。細長い展示室はなぜか靴を脱ぎスリッパに履き替えるようになっている。まあそれだけこじんまりしている。
 今回の「世界の巨匠が子どもだった頃」という企画展は、おかざき世界子ども美術博物館が所蔵する著名な芸術家の10代に描いた260点のコレクションから41人の作品53点を紹介するとなっている。
 10代とはいえ、すでにプロとして生計を立てていたモネのような人間もいる。確かモネは10代の頃に漫画的な風刺画カリカチュアですでに人気を得ていたという。また日本画鏑木清方は父親の経営していた新聞の挿絵画家として活躍していたし、その清方の門下にいた伊東深水も活字工をしながら、早熟な才能を見せた。彼らはある意味10代の頃からプロフェッショナだった。
 その他にでもロートレックムンクエゴン・シーレパウル・クレー等は皆非凡な才能を開花させている。結局のところ天才は子供の頃から天才なのであるという自明なことを改めて感じただけだ。

 これはピカソの14、5歳の頃の秀作である。「どうだ上手いだろう」感が満載な絵である。早熟な天才ではあるが、多分相当に嫌なガキだったのかなと思ったりもする。この天才少年が10代の後半にはデカダンスに流れ、ロートレックに傾倒するというのも面白い。単なる優等生ではないということなんだろう。
 10代の作品群はほとんどが習作であり、感銘を与えるような芸術作品としてはやはり稚拙さがまさる。とはいえ後の傑作を思い描きながら、なんとなく余裕めいた感じで鑑賞することができる。とはいえ一回観ておけばいいかなというレベルか。
 この美術館もまあそのこじんまりさも含め埼玉県民としてはあまりリピーターになるとはちょっと思えないが、企画展によってはまた行ってもいいかもしれない。帰りに道路を隔てて斜め左にある和菓子屋で思川饅頭なるものを買って帰った。