大谷寺にある池の周囲で子どもが見つけた。
木の枝に擬態することで有名な珍しい虫である。自分も子どもの頃に一度見たきりで、多分50数年ぶりみたいなことになるだろうか。
この虫のことをよく覚えているのは一にも二にも『伊賀の影丸』のせいである。『伊賀の影丸』は子どもの頃に愛読していた横山光輝の忍者漫画。公儀隠密服部半蔵配下の伊賀忍者が敵対する忍者群と対決する。伊賀忍者の筆頭は木の葉隠れを必殺技とする影丸だ。このシリーズの中でももっとも好きだったのが、薬草や毒薬を得意とする村雨兄弟と同じく毒薬を使った技が得意な闇一族との戦いを描いた巻だ。
影丸と共に戦う村雨兄弟は五人兄弟でそれぞれが得意な技を持っている。その四男霧丸が得意としていたのが、周囲と同化する変わり身の術でその技を説明する際にナナフシが出てきたのだ。霧丸はナナフシの術を用いて闇一族の一人を倒すのだが、やられた相手は「キリマル ナナフシ」というダイイングメッセージを残す。それを闇一族の首領が読み解き、霧丸はやられてしまうというそういう話だった。
そういうこともあり、いつかナナフシを見てみたいと思っていて、数年後に実際に見つけた時は小躍りして喜んだものだ。たしかそれは父親が捕まえてくれたものだったと記憶している。その後、ナナフシをどうしたのかという記憶がまったくない。多分逃げられちゃったのではないかと思っている。
地面にいたナナフシを木に移してみたところ、やっぱり擬態というか見分けがつきにくくなった。