ポーラ美術館「ピカソとシャガール 愛と平和の参加」

 三連休は箱根の健保の保養所に行っていた。そして箱根といえばポーラ美術館である。企画展「ピカソシャガール 愛と平和の賛歌」が18日からだったので初日に行くことにした。
 
 ピカソシャガールは20世紀の巨匠である。そして二人ともたいへ長命でピカソは1973年に91歳で没し、シャガールにいたっては1985年に97歳で亡くなった。1985年といえばつい最近のような気もするがそれでももう32年も前のことになる。80年代を最近と感じるのは同時代的感覚が働くからなのだろうが、そういう自身も還暦超えなのだから、これは大いなる錯誤かもしれない。

 この写真は1950年代初頭、フィリップ・ハルズマンが撮影したものだという。共に70年代に入ったあたりだろうが、元気そうである。ピカソシャガールは若い時からお互いを認め合っていたというが、ピカソのほうが年長でもあり、また画家としての成功も早かっただけに、シャガールにとってピカソはレスペクトすべき先達という部分もあったのだろう。この写真の頃は互いに美術界の巨匠として君臨している時期で、かなりフレンドリーな間柄だったことがこの写真からみてとれる。解説によるとこの後すぐにピカソのジョークにシャガールが腹をたて絶縁状態になるらしい。そしてピカソが亡くなるまで関係は絶たれたままだったとか。
 ただ正直にいうとピカソシャガールを同列に展開するのは多少無理あるかもしれない。同じモチーフ、着想を描き続けるシャガールと主題、技法が流転変転するピカソではとではちょっと比較にならないと思う。天才ピカソに比べればシャガールはどうしても凡庸に感じられる。あえて言ってしまえば、ピカソと対峙できるのはマティスだけかもしれないとも。
 常設展で著名な画家について別の画家がコメントした言葉が絵の解説と一緒に展示されている。マティスについてピカソはこう述べている。

 そのコメントが付されたマティスの絵は私の大好きな「リュート」だ。

 
 その他ではピカソの青の時代以前、まだ10代の頃の作品には、様々な模写、習作ものが多い。特にロートレックの影響が顕著だと思うのだがどうだろう。

 この日は企画展初日なのでプレス向内覧会を開催していた。写真は館長の挨拶しているところ。