箱根旅行の2日目は伊豆まで足を延ばした。以前から行きたかった池田20世紀美術館がお目当て。現代絵画中心というが、伊豆の地にこれだけの名画が収蔵されていることに驚きすら覚えた。いや、ちょっとした感動である。
公益財団法人池田20世紀美術館
ルノワールのような今となってはオールドマスターともいえる著名なものから、ナビ派のボナール、フォーブのブラマンク、エコールド・パリのキッスリング、シャガール、そしてピカソ、ダリなど。個人的にはフェルナン・レジェが数点所蔵されているのも嬉しい。
<外観>
中は落ち着いた雰囲気。とにかく休みなのに客がいない。なのでゆったりと居心地よく絵画鑑賞できるのはいいのだが、これで運営できるのかと、ちょっと心配になる。
ピカソ「近衛兵と鳩」
晩年のピカソの絵はあまり才気みたいなものを感じさせないし、インパクトも個人的には弱いと思っている。なのでこの手の作品にはあまり心動かない。たまたま読んでいる村上春樹『騎士団長殺し』の印象もあるのか、この近衛兵、なんとなく頭でイメージする騎士団長みたいな趣がある。
ダリ「ヴィーナスと水平」
これはもう傑作だと思う。ダリ二十代前半の作品らしいのだが、ピカソの影響が大だと思う。ヴィーナスはほとんどある時期のピカソの女性だし、全体にキュビスムしている。
田中保はいまではあまり知られていないようだが、戦前のパリで評判となった画家だという。ひょっとしたらフジタよりも評価が高かったかもしれない。ウィキペディアを引用すればこういうプロフィール。
田中 保(たなか やすし、1886年5月13日 - 1941年4月24日)は、日本の美術家。埼玉県南埼玉郡岩槻町(現・さいたま市)出身。浦和画家の一人で、海外で活躍したエコール・ド・パリの画家で、パリの画壇でサロンを中心に豊満で官能的な裸婦像を発表し、「裸婦のタナカ」として賞賛を浴びた。日本に一度も帰国することなく第二次世界大戦中のパリにおいて客死したため、その生涯はほとんど知られていなかったが、次第にその業績が知られるところになり、近年評価と関心が高まってきている。
「夢見る裸婦」
美女と野獣のイメージってこういうことなんだろうな。
モイーズ・キスリング「女道化師」
これは文句なく傑作だと思う。酷薄で冷たい女性の自画像(キキをモデルにした奴)とかのイメージ強いが、キスリングにももっと対象への暖かな眼差しの時代があったのかと勝手に思えるような作品。