ゆずり葉保育園

 風の里保育園を運営する社会法人すみれ会が運営することになった公設民営保育園が4月から開園となる。風の里のイメージ・コンサートで園長先生が新しい保育園を運営することになったとお話されていたところだ。ここの開園式典に風の里の保育士と一緒にアフター・スクールの子どもたちがソーラン節の群舞を披露することになったので、娘を連れていってみた。式にはふじみ野市長等も来賓として出席するとのことだったが、園内に入れるのはこどもだけで親たちは外で待つことになった。
 保育園は新しい建物だけに立派な外観だった。中に入った娘の感想は、「なんか保育園というより病院みたい」だとか。ハコ物もさることながら風の里にずっと子どもを預けてきている親の一人としては、保育のソフトウェアにも信頼をよせているので、ぜひこの公設民営方式の保育園が成功することを心から願うところだ。
 風の里の良質な保育が分散されることになるため、うまく運営していかないと難しい側面もでてくるだろうなとも心配するところではあるけれど、たぶん風の里で経験を積んだベテラン保育士を配置することになるのだろうと思う。風の里についていえば、何年も子どもを預けている親との信頼関係もうまくいっているけれども、新しい保育園となるとそれらを一から築いていくことになるわけだ。なかなか難しいところだな。
 自身の経験とかでいえば、例えば書店とかが新しく拠点となる大店舗を出店する際には、主要店の力のある担当者等を開店メンバーとして配置する。まあどんな事業でも新規事業を行う場合は同じようなものだろう。風の里から、どの先生がゆずり葉に行くのかな、などと想像する部分もなきにしもだが、とにかく成功してもらいたい。すみれ会の公設民営方式が成功していけば、ある意味ふじみ野市の子育て施策が特色あるものになっていくような気さえする。それほど子どもを何年をここに預けている親としては、この保育園に対する思いいれ、信頼は厚いものがある。
 なお、この保育園の名前は河合酔茖の例の詩「ゆずり葉」からとられているという。受継ぎ受継がれていくことをうたった素晴らしい詩だと思う。ゆずり葉ってどんなものだったけと思ってくぐったら以下のようなHPがあった。酔茖の詩ものっていた。
http://www.uchiyama.info/oriori/hana/ki/yuzuriha/
 またふじみ野市議会議員のブログでも2月に行われた内覧会のことが書かれている。二人とも民主党系の方だと思うが好意的に書かれている。こうした公設民営保育園をぜひ側面から応援していただきたいと思っている。
http://app.blog.livedoor.jp/mimbu_kayo/tb.cgi/50452057
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 保育園が充実することは子育て支援の一番の要だとは思っている。自身の経験でいえば子どもができてから妻の育休が終了する間際はかなり慌てたものだ。妻の職場復帰は10月だったから公設の保育園はどこにも空きがなく、民間の保育園でも何軒かに断られた。最終的にみずほ台のマンションの一室の託児所に五ヶ月ほど預けることになった。一歳児を連れて毎日電車通勤した時のしんどさ、小さな託児所に娘を預けることの不安、いろんなものがあったような気がする。
 子どもを保育園に預けること自体に嫌悪を持つ人たちもまだまだいるようだ。所謂三歳児神話というものを、何の疑問ももつことなく信じている人たちがいる。「子どもは母親が育てることが必要なのです。昔からそう決まっています」みたいな言説を何の疑問もなく受け入れているようだけど、三歳児神話自体1960年代にあまり根拠もなく広まったものであることを多分こういう人々は知らないのだろうな。そのへんは以下のFAQが簡易にまとめてくれている。
http://www.eqg.org/lecture/faq-indx.html
 歴史的にみれば、育児とか子育てみたいな概念自体が近代以後成立したことは明らかだと思う。極端にいえば、<子ども>という概念自体、近世以降に成立したとは、確かアナール派の歴史書で読んだ記憶もあるぞ。まあ、それはそれとして。
 話は飛躍していくけど、働く女性の敵は実は女みたいな部分もあるようだな。妻が昔よくこぼしていたけど、学校行事とかいくと働いている女性はPTAとかで肩身が狭いとか言っていたもの。職場はというとたいていの場合は、相変わらず男性中心で行われている部分が多々ある。昔、仕事の上で尊敬していた女友だちとよく話をしたけど、彼女は時々「男性社会の中で女がやっていくのは大変よ」とこぼしていたっけ。それに対して私は、「ある意味男性社会は1000年近く続いているんだから、切り崩していくのは並大抵の苦労じゃない。あんたは普通の男以上に能力あるけど、彼等の2倍、3倍頑張んなきゃいけないんだ」みたいなお気楽な励ましともつかないことをよく言ったもんだった。
 そう、働く女性は社会で男性に対峙して仕事をしていかなくてはならない。それでいて子育ての部分とかで、実は世の女性たち(専業主婦層)からの冷たい視線を受け続けたりもする。なかなかシビアな生き方を強いられたいるんだとは思う。今思うと、倒れた妻も仕事のストレス以外にもいろいろ抱えていたのかもしれないと思うことさえある。
 とはいえ、子育て分業してきた男の私も実はいろいろと社会の冷たい眼差しにもさらされてきたりもした。子どもの送り迎えで早く帰ったりすると陰口たたかれていたりとか。まあ一番ストレートなのは、共働きしているだけで甲斐性なし扱いされたりとかもあったしな。
 とにかく仕事と子育てのことを考えていると、いろいろ思うことがあるな。ずいぶんとゆずり葉保育園から離れる話になってしまったけど。