妻の状態

 転院以来6日が過ぎた。国リハでのリハビリも始まっているようなのだが、今ひとつはっきりしない。妻の話を聞いていると1日〜2日は検査でCTやエコーをやったようだ。リハビリ室での起居動作訓練、若干の歩行訓練とかも行われているらしい。また作業療法での知能訓練なども始まっているようだ。でも目だった改善があるようには思えない。まだたった6日なのだから仕方がないのだろうけど。
 これまでの医センでのベッドでのほとんど寝たきり状態から生活はどうやら一変したようだ。毎朝6時に起き、7時くらいから夜の8時頃まではずっと車椅子に乗っている。もちろん途中で若干の休憩時間には横になることはができるらしいが、基本的には車椅子生活だ。トイレも自分で車椅子で行き、トイレの中からナースコールをする。介助してもらいズボンやリハビリパンツ(パンツ式のオムツ)を下げてもらい用をたす。朝のパジャマからジャージへの着替え、夜の着替え(朝の逆)も介助を受けながらも出来るだけ自分でできることは自分でするということになっているらしい。少しづつ少しづつ自分の身の回りのことを自分でする訓練が始まっているということだ。
 しかし相変わらず食事の時にはいろいろこぼすし、常時涎を流している。麻痺した左半身の回復はほとんどなさそうだ。面会時にはよく顔の筋肉のトレーニングとして、すっぱい顔をさせたりしている。十回以上続けさせると、片麻痺のためしまりのない、笑うと口がまがる顔にもなんとなくしまりが出てくるような気がする。一人の時でも練習するように言っているのだが、あんまり行っていないようだ。リハビリが辛いのはわかる。本人もよく口にしている。車椅子に乗っているだけで相当に辛いだろうし、疲れるのだろう。でも彼女が片麻痺の状態のままで日常性を取り戻していくには、半端じゃない努力が必要なわけだ。どうしたら彼女のリハビリへの取り組みのモチベーションを高めていけるのだろう。ここのところはずっとそのことを考えている。
 彼女はいつも面会に来て、来てと催促する。「出来るだけ早く来て」であり、帰る時には「もう帰っちゃうの、寂しい」である。彼女にとって家族が支えであることは間違いないだろう。もう一つには家族には思い切り甘えられるという部分もある。だから面会の回数を減らすわけにはいかないと思っている。自分や娘の生活のことを考えれば、少しづつ面会の頻度を減らしていきたいと思う部分もある。でも、それで彼女の疎外感が強まったり、リハビリへの意欲が減退したらと思うと、少々無理目でも面会を欠かすことは出来ないなとも思うのだ。どうしたらさらなるリハビリへの意欲を守り立てていけるのだろう・・・・・。
 今、彼女は外出や外泊を強く希望している。面会の度にいつ家に泊まれる。コンビニに買い物に行きたいを口癖のように言う。このへんをにんじん(えさ)にしていく以外ないのかなとも思う。毎日、百回うめぼし(すっぱい顔)をする。リハビリを頑張る。涎をたらさないよう気をつける。それが出来たら、例えば週末の面会時にはちょっとした外出をさせるみたいな報償主義でいく必要もあるのかとも思うのだ。なんとか彼女のリハビリへの意欲、モチベーションを高めなくてはならない。
 今日の面会時には、食堂で娘とオセロをさせた。8歳の娘といい勝負で結局負けたけど、妻にはいい訓練になっているのではないだろうか。その後、私と五目並べを行ったのだが、私が考え事していたせいもあるのだが、十数目で妻が勝った。妻はにんまりしていた。こういうのも些細なことだけど訓練になっていると思う。