カミさんを怒ってしまう

 今週も木曜に健康診断、昨日は糖尿の通院とかでカミさんの通院の送迎が続いている。結局、仕事辞めてもそういうのはずっとついて回るのだし、多分これからもどんどん増えていきそうな気もしないでもない。

 その健康診断のために体重を少しでも落としたいと、彼女なりにいろいろ考えているみたいで、食事も夕食はサラダだけにしてみたりとか試みている。それとここのところ、一人で車椅子で散歩するようにもなってきている。10年前は杖でけっこうな距離を歩いたりも出来た。前に住んでいた町では家から最寄り駅まで普通に歩いても15分前後かかるのだが、そこを一人で歩いたりしたこともあった。

 さすがに今はそこまでの体力がない。45歳で病気になったから、当時はまだいろんな意味で体力があったんだなとも思う。最近は歩くとなると家の中での伝い歩き、外ではほんの短い距離に限られる。

 その代わりというのでもないのだが、車椅子での散歩をよくするようになっていて、朝、自分が出かける時にも、今日はデイから帰ったら散歩するから車椅子外に出しておいて頼まれることが増えている。

 使っている車椅子は介護保険のレンタルで1台、これはだいたい車に積んでいる。それとは別に中古の車椅子を購入して近所に買い物に行くときとかに利用している。まあだいたいは自分か子どもが押しているのだが、一人でも片足と片手で車椅子を操作して移動することがある。この家用の車椅子は去年、中古で買ったもので軽量で扱いやすい。確か松永製作所のものだったか。

 この車椅子はアメリカ旅行用に軽くて持ち運びしやすいということで買ったのだが、カミさんもこの車椅子は割と気に入っているようで、こぎやすいと言っている。それでご近所の散歩もだんだんと距離が伸びてきているようで、最近は踏切を超えて行ったり、広い国道を渡ったりもしていて、だいたい4キロ前後の距離を行っているみたいだ。

 もちろん一人なので心配は心配である。特に踏切はもし脱輪したりすればとんでもないことになるし、広い国道の横断歩道は信号が緑のうちに渡り切れない可能性もある。くれぐれも注意してと言っている。あとは不意の雨である。片麻痺なので車椅子を操作してる時には傘もさせないし、常時雨具を持っていくこともできない。

 今日も自分が家の掃除をしているときに、ちょっと散歩してくるから車椅子を出してと言うので外に持ち出してあげる。それから1時間以上しても戻ってこない。掃除を終えてしばらくしたので多分2時間近く経っていたのでさすがに心配になって、探しに行くのだが、携帯に電話しても「只今電話に出れません」となってしまう。それで前に一緒に何度か行ったことがある国道の方に歩き始めると、ポツポツと雨が降り始め次第に本降りに近くなってくる。

 車椅子には折り畳み傘を後ろのバッグに入れてあるのを知っていたのと、おちあえば自分が押してカミさんが傘をさせばと思っていたので自分は傘を持ってこなかった。しかし連絡が取れずに自分がそうやって探しに歩いても見つかるのか。

 だいぶ経ってから彼女から電話があり、ほとんど電源がないけどなんとかけられたと言う。聞けば自分が向かったのとはまったく逆の電車の線路の向こう側にいるという。そこでもう動かないで待っているように言い、速足で自宅に戻り車で迎えに行く。その間も雨はずっと降り続いている。

 車に乗ってからは5分くらいで迎えに行く。カミさんは公衆電話の前で傘をさして車椅子に乗っている。傘はどうしたのかと聞くと、知らない人に貸してもらったとかいう。とりあえず自宅に連れ戻してから、カミさんをひどく叱ってしまう。散歩に行くのはいいが、携帯の充電状態とかは出る前に確認しなくてはいけないとか、とにかく周囲が心配するのだから、必ず連絡が取れるようにすべきだとか、そういうことが出来ないのであれば一人で散歩は禁止するなどなど。

 もちろんカミさんにも理由はあるだろうし、いくら身体が不自由だとはいえ、一人で動きたいという気持ちもわかる。とはいえ家族はというと、そのたびに諸々心配しなくてはいけないので、これはけっこう悩ましいところだ。まあ仕事を辞めたのだから、自分がもっといろいろ付き合ってあげなくてはと思うのだけれど。