水曜日だったか、友人が久しくアウトレット・モールに行っていないということなので、連れていった。なんでも最後に行ったのは御殿場のアウトレットで、おそらく20世紀のことだとか。車持っていない人なので、あまり行く機会がないにしても、30年ぶりくらいになるというのはなんとも。
友人はワニマークとかを何着か買ってた。ワニは1933年、フランス発祥の本家と、1952年に香港で生まれたものの二種類があるようだ。自分なんかは香港のものを、よくヨーカ堂やイオンで買ったりしていたが、友人に言わせれば、あれはバッタものらしい。たしかに値段はフランス本家とはえらく違う。それでも同じイオンのノンブランドよりはそこそこ高目なのだが。
アウトレットでは友人が行きたいブランドショップを中心に回る。自分はもうあまりブランド品とかに興味もないし、アウトレットとはいえ買い漁るような財力もない。それでもブルックス・ブラザースにはちょっと入ってみた。気がついた時にはキャップが一つ入った手提げ袋を持っていた。
ブルックス・ブラザースではネクタイの展示台をつらつら眺める。仕事をしていた頃はだいたいブルックス・ブラザースかJプレス、ニューヨーカーあたりのネクタイを持っていた。基本、大昔からトラッド志向なので、ボタンダウン、チャコールグレイのパンツに紺ブレ定番だったか。あと靴はリーガルとか。
たぶん50代くらいから自分へのご褒美みたいにして、ブルックス・ブラザースのネクタイを年に1本買っていた。さらに友人、知人からプレゼントしてもらうこともけっこう多かったから、そこそこ在庫をしていたかもしれない。なのでネクタイの展示台を見ていると、「これ持っているな」とか「これの色違いはあったか」みたいな感じになる。基本トラッドなんてデザインはほとんど同じだし、レジメンなんてストライプの色が違うだけだから、当たり前だ。
そうやってネクタイの展示台眺めているうちに、なんとなく感傷的な気分になってくる。この種のネクタイをけっこう持っているけれど、もう着用する機会もほとんどない。仕事リタイアして5年以上になるのだから当たり前だけど、とにかくネクタイすることなんてもうないのだ。
それと同時に、こういうネクタイをして様々な仕事をしていた場面とかがほんの少しだけ頭の中で巡るような気もした。日常的な会議では着古したものでもいいけど、やっぱり役員会とか株主総会にはちょっと良さ気なものにしてみるとかなんとか。さらにいえば、大昔の30代くらいの頃、まだ高いネクタイなどそれほど持っていない時分、デートとかにはやっぱりブルックスやポロのしてったっけなとか。
ブランドもののネクタイを見ていると、なんとなく自分の人生、サラリーマン人生を投影したり、そこからまたかっての人生の場面が投射されるようなそんな気分。まあそういうのが、どこか感傷的な気分を誘発するのだろうな。
ネクタイ売場から移るときに、誰にも聞こえないように、「もう君たちのような高級ネクタイを買うことはないんだよ」と呟いてみる。もちろんネクタイは何も語らない。
友人(同世代)とシニアというか高齢者のファッションについて少し話をした。結論的には何を着てもいい、ただし清潔感だけは必須だなということに落ち着いた。まあそういうものだろう。
ここ数年、夏の時期に何を着るか問題を抱えている。50代くらいからはポロシャツが一番多かったかもしれない。基本はユニクロ、あとはポロシャツというくらいなので、やっぱりポロあたりか。でもここ数年はなんとなくポロシャツからTシャツに変わってきたかもしれない。それもプリントされたものよりは無地かワンポイントみたいなものが多い。とくにここ1~2年は、ユニクロのクルーネックかオーバーサイズを一番着ているかもしれない。オーバーサイズはなんとなく楽なので、セールがあるとまとめ買いすることが多い。例のあれですよ、1500円が980円になるみたいなやつだな。
Tシャツといえば、もちろんブランド品も少しはもっている。ブルックス・ブラザースのヘビー・ウェイトTシャツは、トレーナーみたいな生地だけどけっこう気に入っている。とはいえこのご時世ではなかなか買えないな。貰い物とか自分で買ったもので数枚あるにはあるけど、今後買うかといえばたぶんもう無理だな。安いTシャツ10枚分だもの。友人と話をしていても、「これ買うならユニクロのセール品10枚買うよ」みたいなことを言う。でも本当に10枚買うかとなると。
もうブランドものは買えない、着れないとなると、やっぱりユニクロが定番となる。でも以前、誰かが言っていたが、今の若い人にはユニクロはけっこう高めで、みんなGUに流れているみたいなことだった。同じようにオジサンたちはどうしているかというと、ユニクロは高級品で今は「タカハシ」*1が一択だとか。
でも古希を迎えたジイさんがTシャツ着ていてもいいのかと思ったりもする。SNSで流れてくる動画にも「これやめて」だの「NGファッション」だのと脅迫観念を助長するようなものが多い。見る気もないのにちょくちょく流れてくる。ああいうのは一度でも見ると、アルゴニズム的にどんどん流れるのだろうな。
とはいえもう周囲にどう思われようが、ある意味どうでもいいと思う部分もある。枯れるとか、諦観、達観というか、そういうものだ。それでもやっぱり周囲から後ろ指指されないようにとか思ったりもする。もっとも誰も見ちゃいないのだろうけど。
ということでまあ結論的には小ざっぱりした服装。毎日シャワー浴びて、同じ服を着ない。洗濯はマメにする。そういうことに尽きるのだろうと思ったりもする。
とりあえずアウトレットでブルックス・ブラザースのキャップを購入した。今の自分にとってはけっこうお高い買い物で、これはつい友人のワニ大人買いにつられた結果だった。

*1:服のタカハシはオフプライスの廉価衣料を販売している。首都圏一都4県で約50店舗で展開している。