桜巡礼その一

国立大学通り (3月24日)

 2月いっぱいで仕事をリタイアした友人と会うことになった。

 当然、昼飲みになるんだが、その前に花見でもということで国立で会うことになった。友人の地元であり桜の名所らしい。

 国立の駅から南へ続く大学通りは桜並木だ。途中、道の両側に一橋大学のキャンパスを眺めながらそのまままっすぐ進む。両側の広い歩道と桜並木が途切れると谷保駅へと続く道になる。その途中にさくら通りが交差する。

 こういうところで暮らすのはいいだろうなとか、4年間をこの町で過ごす一橋の学生がなんとなく羨ましくなったりもする。まあ国立は人気のある一等地でもある。ここは西武の祖、堤康次郎が開発した町で、ネーミングは単に国分寺と立川の間に作った駅なので国立だとか。まあ見事の桜の前ではそんなことはどうでもいいことかもしれない。

 谷保まで歩いたあたりから雨が降り出してきので、百均ショップに入って傘を購入。そのまままた国立まで歩く。途中で路面店で昔から品揃えが良い本屋としてそこそこ名の通った増田書店に入る。棚の品揃えはそこそこ頑張ってる感もある。でも平積みは1~2冊だったりとか、やっぱり本が売れないことを感じさせたりもする。

 最近、亡くなったばかりの大江健三郎のコーナーはあるかと店内を探すがなかなか見つからない。自分と友人がそんな話をしていたら、他のお客さんが「向こうの棚の方でありましたよ」と教えてくれたが、それでもなかなか見つからない。ようやく見つけるとかなり貧弱な感じで、いかにも店内商品集めました的な感じだった。

「なんか淋しいね」

 と、友人と話す。大江健三郎はもうオワコンなのかというような思い。

 もっとも、ひょっとすると発注はしているけどなかなか商品が入ってこないとか、出版社では重版がかかっているとか、そういうこともあるのかもしれない。しかし『同時代ゲーム』や『ピンチランナー調書』も1~2冊が面陳、『ヒロシマ・ノート』もなかったかも。

 書店を出てから駅近くの中華系の飲み屋に入って、いつものようにぐだぐだと飲む。自分もそうだけど、友人もなんとか本の業界での仕事を全うできた。ある意味、逃げ切ったのかもしれないと、そんな話をした記憶がある。

 二件目は、多分10年ぶりくらいになると思うが、昔ライブを聴いたジャズ喫茶に入ってしこたま飲んだ。多分、入れたばかりのボトルを三分の二くらいは飲んだか。これも久しぶりだけどスティーブ・マーカスなんかをリクエストした。

武蔵高萩駅周辺 (3月28日)

 泌尿器科医院への定期通院。

 いつもは車で行くのだが、その日は友人と会う約束をしていたので電車。予約していた時間よりも1時間近く前に駅に着いたので、駅周辺をぶらぶらとする。川越線は電車の乗り継ぎが悪いとえらく遅くなったりもするし、それを回避すべく早目に出ると早く着き過ぎるなんてこともある。

 駅は少し高台にあって県道川越日高線に通じる道が桜並木になっている。

 

 

 

 泌尿器科ではCTと尿流量検査を行う。検査結果は悪くなかった。

 CTでは泌尿器や前立腺だけでなく、消化器まで写る。

前立腺肥大はあるけど、腎臓や泌尿器は問題はなさそう。胃や大腸もしっかり映っているけど、僕にはそれを判断することは出来ないから」

 大学病院で泌尿器科のセンター長まで務めたベテラン医師が謙遜してそんなことを言う。

「来月、胃カメラやる予定でいます」

「うん、そうしてくれると助かる。そうやってきちんと検査してくれると有難い」

 まあ、普通に考えても何かあれば、早く消化器系の検査しろと言うだろうから、そんなに問題はないのかなとも思ったりもする。胃カメラは毎年やっているから、多分大丈夫かなと希望的観測も。あとはしばらくやっていないから、夏くらいまでには大腸内視鏡をやった方がいいのだろうなとも。

 桜と通院。竹内まりやの名曲「人生の扉」ではないけど、あと何度、満開の桜を見ることができるか。桜を見るたびそんなことを思う。なので、ここ何年かはあちこちの桜の名所に行く頻度が増えた。そういうものだ。