東京都美術館の後、ついでというかトーハクに流れた。このパターンはけっこう多く、去年も何回か東美の後に訪れている。ただし時間的には1時間半くらいだったので、本館2階、1階をさっと流した感じだ。
以下気になった作品。
キリシタン弾圧のために行われた「踏絵」を題材にしたもの。今まさに踏絵を迫られるキリシタン女性たちの緊張感を切り取った作品。同じ主題で鏑木清方の「ためさるゝ日」を観たことがある。清方の作品に比べると、あまり切迫感を感じない。
やや俯瞰から湯治場の景色を活写したもの。真ん中の絵などは、どこか覗き趣味的であり、そういう受容を意識しているのだろうか。まあこんな感じだし。


《木の間の秋》などともに下村観山の代表作とされる作品。トーハク所蔵とは聞いていたが、実作を観るのは初めて。美しい作品。
文化遺産オンラインの解説を引用する。
画面を貫く橋の欄干を真横からみた大胆な構図に、蛇の目をさす婦人と、それを振り返る女性三人の一瞬のドラマが繊細な人物描写によって描きだされる。絹の裏から金箔をあてる手法(裏箔)と裏彩色により、雨を線ではなく光で表わして、この情景を演出する。 (2005/04/26_h18, 2007/03/27_h18)
春雨 文化遺産オンライン (閲覧:2023年3月3日)
髷、着物、唯一顔が描かれる女性のお歯黒などから、三人の女性はいずれも年配の夫人のようだ。一瞬のドラマとは言い得て妙である。そして雨を光で表すという手法も、そういわれると感嘆せざるを得ない。
しかしまだ観ぬ名画が沢山あるのだなと改めて思ったりもする。トーハク詣ではいつも新しい発見がある。