大魔神

 懐かしい大映の特撮映画である。暮れにBSで三部作一挙放映されていたものを録画した。

 1966年制作、本当に懐かしい。リアルでこの三部作を観ていたのでおそらく小学4年生とか5年生とかそのくらいだ。封切りでは『ガメラ対バルゴン』の二本立てだったらしい。この時期のガメラシリーズもほとんど観ているが一番館で観たという記憶があまりない。おそらく二番館か三番館での上映だったのだと思う。

 現在の上大岡にはTOHOシネマズのシネコンがあるけど、50年前は三番館的な映画館があった。そこでは洋画、邦画と様々上映していたが、特に夏休みには早朝に映画上映があり、怪獣映画やなぜか夏ということで怪談ものとかもかかっていて、毎日のように足を運んだ。

 今時の子どもはどうかわからないが、当時は娯楽も限られていこともあり、映画をポピュラーな娯楽だった。封切り映画は高いので親と一緒でないといけないけど、三番館あたりの映画館には割と普通に子ども一人でも行くことが出来た。特に夏休みの早朝上映は多分、ほとんど一人で行っていたのではないかと思う。

 当時の東宝の怪獣モノ-ゴジラに対抗して、各社それぞれオリジナルの怪獣モノをぶつけてきた。大映は亀が巨大化したガメラ、日活は確かカッパの化け物であるガッパとか。ガメラが亀なのに手足を引っ込めるとそこからロケット噴射しながら回転して空を飛ぶという、どういう構造になっているのかわからんが荒唐無稽な怪獣だったが、けっこうヒットしていた。そのガメラシリーズにさらにもう一つ別路線を投入ということで、怪獣+時代劇という設定で制作されたものが『大魔神』だった。

 このシリーズ『大魔神』、『大魔神怒る』、『大魔神逆襲』の三作が制作されている。三作作られたということで成功したシリーズのようだが、制作費がかさんだため収支はトントンだったとか。

 このシリーズは基本的にはワンパターンの設定で、領民に慕われ善政を行っていた殿様が家老や分家の悪人の謀反により殺される。悪人は領民を虐げ、さらに信仰の対象であった山の神(湖の神)を破壊を企てる。そこで神(大魔神)は目覚め悪人を退治する。大魔神が悪者を追い詰めて殺すシーンが、例えば大きな釘で串刺しするなどけっこう残酷なパターンが多く、これが子ども心にはかなりインパクトがあった。

 『大魔神』では殺された領主の娘で山でかくまれて育った美しい娘役を、当時の大映の清純派女優高田美和が演じている。当時19歳の彼女は、自分のような子どもにも美しいおねえさんに見えた。その頃の美人女優といえば、東宝でいえば酒井和歌子、日活はすでに一枚看板だった吉永小百合和泉雅子などを覚えているけど、高田美和も割と好きだったような気がする。小学4~5年生ということでいえば、わりとませたガキだったのかもしれない。

 後年、高田美和が日活ロマンポルノに出演したのはちょっとびっくりだったような気がする。1980年代のことだから当時彼女は30代半ば。まあ少々とおがたった美人女優や歌手のロマンポルノ出演ってけっこうあったような気がする。そういえば天地真理畑中葉子なんかも出演していたか。

 日活ロマンポルノはというと学生時代の頃に主に監督、例えば神代辰巳藤田敏八曽根中生などの作品を名画座で追っかけていたことがある。とはいえ三番館あたりで三本立てで観ていると途中で眠くなる。セックスシーンは興奮するかというと、なんていうか男女のまぐわいというか、からみあうのってけっこう退屈というか、飽きる。ワンシーンあればいいみたいな感じで、何度も続くとどうでもよくなってくる。

 さらにいえば基本はB級プログラム・ピクチャーであるから、けっこう同じような設定が多かったとかもある。途中で寝てしまい一本目と二本目のストーリーがごちゃごちゃになったとか、レイプする男で蟹江恵三が続けて出ていたとか、けっこう笑えることもあった。

 話を『大魔神』に戻す。とりあえず何十年ぶりかで観たが一応なんとか全部観きることができた。そしてけっこう内容というかストーリーは忘れていることが多かった。とはいえ最後の大魔神の活躍する場面はというとけっこう諸々覚えている。追い詰められた悪人が砦の上階に追い詰められ、大魔神の手を逃れたと思っていたら、後ろから捕獲されるところなんか。

 とはいえ録画した二部作、三部作を全部観るかどうかというと、やや微妙である。暇な老人とはいえすべきこと、観たい映画も沢山あるし、読みたい本もある。大魔神に半日費やすべきかどうか。

f:id:tomzt:20220105195220j:plain

f:id:tomzt:20220105195217j:plain
f:id:tomzt:20220105195214j:plain