ザッツ・エンターテイメントPART3

 

ザッツ・エンタテインメント PART 2 [DVD]

ザッツ・エンタテインメント PART 2 [DVD]

  • 発売日: 2011/07/20
  • メディア: DVD
 

  夜、一人でリビングで観た。本当は『ザッツ・ダンシング』を観ようと思っていたのだが、見つからなかったのでこれにした。PART1はそれこそもう両手でもきかないくらい繰り返し観ている。残念ながら劇場では観ていないが、最初はビデオでもう数えきれないに、DVDが出てからも何度も観た。PART2も同じくらいに観ている。プレゼンテーターがジーン・ケリーとアステアで、二人が踊り、歌いながら各シーンを紹介する。あのときにジーン・ケリーは64歳、アステアは76歳だったということだが、二人とも年齢を感じさせないくらいに優雅に舞ってくれた。

 PART3はというと、PART1から20年を経過したMGM創立70年を記念した作品となっている。なんとなく落ち穂拾い的な部分もあるし、ジーン・ケリー、アステア、ジュディ・ガーランドに再びスポットを当てている部分はなんとなく焼き直し的なイメージもある。まあこの三人は本当に偉大なスターでもあり、MGMにも貢献大なのでこれはしょうがないところかもしれない。もっとも和田誠の本だかで読んだように記憶しているのだけど、ジーン・ケリージュディ・ガーランドは本当にMGMの真性スターなのだけれど、アステアはもともとRKOのスターで、MGM的には客演的な雰囲気もあるのだとか。

 実際、フレッド・アステアのMGMでの主演作はというと『バンド・ワゴン』、『イースター・パレード』、『恋愛準決勝戦』、『絹の靴下』あたりか。まあ4作も主演作があれば十分かもしれないけど彼がMGMと契約したのは1946年ですでに47歳になっていた。まあダンサーとしてはさすがに体力的には盛りを過ぎていたかもしれない。とはいえ我々は彼のいぶし銀の、あるいは円熟期にある華麗なダンスをMGMミュージカルで享受している。

 PART3で嬉しいのはプレゼンテーターがの多彩なところだろうか。デビー・レイノルズは第一作い次いで2回目だが、それ以外ではジューン・アリソンエスター・ウィリアムスがそれぞれ自身の作品の解説をしたりする。さらにこれが嬉しいところだが、美しいダンサーの筆頭であるシド・チャリシーがプレゼンテーターとして出演していること。さらにMGMミュージカルの看板ダンサーであったアン・ミラーも昔の面影のままに出演している。

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 さらに当時一流のジャズ・ボーカリストにして美貌のミュージカル・スターだったリナ・ホーンが往年の美しさそのままにプレゼンターとして登場する。黒人であったがために『ショー・ボート』の主演をエヴァ・ガードナーに譲った(奪われた)ことなどを語る。1940年代から50年代、どんなに美しく、どんなに素晴らしい歌を披露しても、黒人であることで活躍の場は限られてしまっていた。もし彼女が21世紀に出現していたら、どんなに凄いスーターになっていたかと思わないでもない。

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 プレゼンテーターが主役級だけではなく、ダンサーや歌手にもスポットライトを当てている点がPART3の嬉しいところだ。さらにはMGMスタジオに保存されていたアウトテイクやカットされたシーンなども取り上げている。なんでこれがカットされたんだろうという楽しみや、アウトテイクと実際に公開されたシーンで、ほとんど違いなく踊るアステアの妙義。さらに『レディ・ビー・グッド』で『魅惑のリズム』を踊るエレノア・パウエルの撮影シーンも撮ったテイクは本当に楽しい。舞台装置が切り取られ、別の舞台が挿入される。それぞれの舞台にピアノの演奏者がいる。あのピアノ・プレイヤーは多分そこそこに有名なジャズ・ミュージシャンかもしれない。

 久々にこの映画を堪能した。多分、近い時期にPART1、PART2を見返すことになると思う。この映画は死んだとき棺桶に入れて欲しいと思ったりする。そういえばPART1をこよなく愛していた父の葬儀の際、確かこのビデオテープを棺桶に忍ばせたように記憶している。もう34年も前のことになるけど。