NILS LOFGREN DREAM BIG


 ブルース・スプリングスティーンのEストリートバンドのリードギター奏者でもあり、ニール・ヤングのクレイジー・ホースにも参加するニルス・ロフグレンである。もともとは兄弟でグリンというバンドを組んでいたし、ソロ活動も1970年代からずっと続けているいきの長いミュージシャンだ。ギターテクもピカイチ、パフォーマーとしても異才を放ち、歌もうまい。作曲家としても非凡なものがある。なのに今一つ人気が出ない。そういうなんとなく悲運なままキャリアを積んでしまったという感じだ。
 彼のパフォーマンスは一度だけライブで観ている。リンゴ・スター・オールスターの一員としてだったと記憶している。最初の来日の時でメンバーもジョー・ウォルシュドクター・ジョン、リック・ダンコ、リヴォン・ヘルム、クレランス・クレモンズ、さらにはビリー・プレストン錚々たるメンバーの中にあって、あの独特のパフォーミングはけっこう目立っていた。何よりカッコよかった。
 そんな彼のいぶし銀のようなパフォーマンスがこの「DREAM BIG」だ。まさかのハーブとタップの融合、さらにはサビでギターも弾く。器用貧乏とかいう陰口も聞こえてきそうだが、最高のパフォーマーだと思っている。