ケン・ラッセルの訃報でグレンダ・ジャクソンを思う

鬼才ケン・ラッセルが亡くなった。84歳だったと。
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201111280461.html
一言でいえば気持ちの悪い映画を撮る人という印象。印象に残っている映画は
恋する女たち」「恋人たちの曲・悲愴」「トミー」「アルタード・ステーツ」あたりか。絶対ゲイだと思っているのだが、なんでも3回も結婚しているという。バイセクってやつだろうか。
リスト、マーラーチャイコフスキーと著名な音楽家を題材とした映画を撮っているのだが、音楽界の偉人がみんなゲイの変態に描かれていて、ちょっと嫌だった。高校くらいの頃か、予備知識なく「悲愴」を観て、ある種チャイコフスキーに偏見を抱いた。ある時期、ピアノの1番、例の♪♪チャン チャン チャン チャーン♪♪を聴くと、反射神経的にゲイの祭典のイメージが脳内よぎった。
気持ちの悪い映画を作る一方、大変しっかり作りこんだドラマを描くことができた。「恋する女たち」はそんな印象がある。この映画に出演したグレンダ・ジャクソンが魅力的で。等身大のかっこいい大人の女を体現したみたいなイメージかな。彼女はこの映画と「ウィークエンド・ラブ」で二度オスカーを取っている。60〜70年代を代表する演技派イギリス女優というところか。といってもイギリス出身の女優はこの人とジュリー・クリスティくらいしか知らない。
「ウィークエンド・ラブ」はジョージ・シーガルとの共演。中年の不倫カップルの切ないお話だったかな。都会的で粋で、最後はちょっと悲しいみたいなストーリー。さらにグレンダ・ジャクソンで記憶に残っているのはジョージ・シュレジンジャー監督作品「日曜日は別れの時」あたりか。これも切ない映画だったよな。彼女のことはこのサイトが詳しい。
グレンダ・ジャクソン : ジャックの談話室
Glenda Jackson
なんでも政治家に転身して労働党政権では運輸大臣を歴任したとか。アレレという感もなくはないが、知的で颯爽とした彼女のイメージからすると政治家もけっして悪くはないな。
鬼才ケン・ラッセルの訃報を聞いて、なぜか思い出したのは彼女のことだった。
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