「人生はビギナーズ」

人生はビギナーズ [DVD]

内省的でスタティスティックな映画である。「私はゲイだ」、末期ガンに侵された老いた父の突然カミングアウトに戸惑う内向的な38歳の独身男のモノローグ。お話的には末期ガンの父と過ごした時期の追想、新しくできた彼女とのぎくしゃくしたやりとり、じょじょに、じょじょに成長していく中年になりかけた大人になれきれない永遠の男の子の物語というところか。
たぶん良い映画的にくくられるのだろうが、実は少々痛い。この手の彼女とうまくできない独身男の話、人とうまくコミニケートできない男のお話、どこかで観たことがあるな〜と思い返してみる。たぶんこの手のお話だな。
「ハイ・フィデリティ」

ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

ジョン・キューザック扮する恋愛オンチのロックオタクが自分のことを語る、ただそれだけのお話。まあこっちは自虐的なコメディだったから、まあそういうものとして観ることができたけど、
それと比較すると「人生はビギナーズ」のほうはより真面目な分、痛さがややきつめかもしれない。まあユアン・マクレガーがイケメンなのと相手役女優のメラニー・ロランがなかなかに可愛いのでとりあえず許す。
さらにいえばもともとはこの映画、史上最年長でオスカー助演男優賞を獲得したクリストファー・プラマーのことが気になって観ようと思った。なんたって「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐である。その彼がずいぶんと御歳を召された、おまけにゲイ役をやるという。もうそれだけで観ておかなくていかないのではと考える。まあ我々古い世代の映画ファンからすれば、もうそれだけでそそられる映画ということになる。たぶんそれがすべてだったかもしれない。
で、クリストファー・プラマーはどうだったか。良かったよ、存在感抜群だったとそう思う