ポール・モチアン死去

なんか書くことが訃報記事についての感想ばかりになっている今日この頃である。新聞の片隅に懐かしいオールドネームを見つけた。
http://mainichi.jp/select/person/news/20111129k0000e060057000c.html
なんといってもビル・エバンススコット・ラファロとの黄金トリオのメンバーである。同日のセッションである「サンディ・アット・ヴィレッジヴァンガード」「ワルツ・フォー・デビー」は名盤中の名盤だろう。
逆にいえばだが、エバンストリオ以外でのこの人の演奏をほとんど耳にしていない。エモーショナルな熱演ドラミングとは対極の理知的なスタティックなスタイルだった。職人気質なサイドメンという印象である。エバンストリオでもエバンス、ラファロのインタープレイを支えていた。この人のリーダー作はあるのかと調べるとけっこうあるのだね。
http://homepage3.nifty.com/kudojazz/paulmo.htm
つい最近まで現役でやっていたというから、長いキャリアだったんだと改めて思う。エバンストリオの後もチャーリー・ヘイデンキース・ジャレット等とも共演している。2000年前後にはエレクトリック・ビバップ・バンドなる多重編成のバンドを率いて活躍していたそうな。個人的には、1990年あたりから急速にリアルタイムなジャズへの関心がなくなっていたから、そういう情報がまったく入ってこなかった。
ユーチューブとかでも見てみると、バリバリの電化サウンドというわけでもな0く、ピアノやギター、ベースが電化しているだけの印象。ビバップをうたっているが、やっているのは完全なメインストリーム・ジャズだ。大御所が若手を率いて流行りの先端ジャズをやっているという印象だな。
2000年前後といえば60代後半以降である。元気なおっさんだったんだね。なんとなく彼の死を例のエバンストリオの静かな演奏で悼もうと思っていたのだが、あえて晩年の元気な演奏を聴きながら過ごしている。
80歳、大往生だと思う。しかし淋しいね。訃報に接するたびにいつも思うことだが、20世紀がどんどんと遠いものになっていく。
http://www.youtube.com/watch?v=eKcKJ-_Z4Ys