風力発電あえぐ自治体

原発に代わる自然エネルギーとして注目が集まる風力発電事業を手がける自治体が、想定外の逆風にさらされている。赤字続きで撤退を検討するところもあるが、一度回りだした風車は容易に止められない。

朝日の25日土曜日夕刊の1面記事である。記事ネタがなかったからかもしれないが、原発に変わる自然エネルギーが国民的な話題になっている時勢にあって、風力発電のマイナス面を強調する内容。
朝日もまた原発ムラにとりこまれていることの証なんだろうか。単純には大広告主東電や国策原発推進経産省に少しでもお役にたとうということか。あるいは3.11=フクシマ以降、原発に対してあまりにもネガティブな風潮が広がりそうなので、社会の公器としては一応ここはバランス感覚を重視して、原発に変わるべき自然エネルギーにもこんなにマイナス面ありますということを一応提示してみましたみたいなことだろうか。
それにしても、間が悪い。場の空気読めていない。今、このタイミングで原発に変わる自然エネルギーのマイナス面をことさら、それもいくら記事ネタ不足していたためとはいえ、一面で展開するのはどうかと思う。朝日よ、あんたやっぱり大広告主東電にしっぽ振っているのと勘ぐられる。それが証拠にというか、よっぽど後ろめたい部分を感じたのか、ネットでググってもこの記事の配信は一切なし。この記事引用した幾つかのブログが散見しているだけだ。
普通、社会の公器、大新聞の一面ぶち抜きの記事を、自社のサイトでまったくフォローしないなんてありえないだろうと思わない部分もある。朝日の中でも暗闘みたいなことがあるのだろうか。この状況下でこの記事はちょっとみたいな感覚が内部的にもあるのではないかと思う。記事は署名入りで丸山ひかりなる記者のもの。ググると30前後の比較的若手で、東北の支局とかにもいた経験のある人らしい。こういう記事をモノにする感覚だと、読売あたりだと出世しそうだけど、さて朝日だとどうかな。
しかしネットで引用できないとなると、さてどうしようかな。全文、ここに写してもいいのだが、どうにも徒労のような気もしないでもいない。しょせん、記事ネタがなかったから、とりあえず載っけてみました的な内容ではあるからちょっと躊躇してしまう。
ただし記事が最後にまとめてみせた、風力発電を導入した自治体はどこも青息吐息ではあるのだが、民間企業での導入、進出機運は高まっているという部分だけ、引用してみる。個人的な感想としていえば、そんなにもマイナスなものになぜ民間企業が進出していくのかということ。本当ならこのへんをきちんと掘り下げて欲しいところなのだが。

一方、民間企業の動きは加速している。東芝(東京都)は5月に、韓国の風車メーカーに資本参加し、風力発電事業に参入すると発表した。」居酒屋チェーン大手「ワタミ」は、秋田県内に市民風力発電(札幌市)の関連会社が計画している風力発電所(1基2千キロワット)の建設に資金を投じている。

とここまで書いていて、じゃあ私は風力発電諸手をあげて賛成かというと、実はそうでもなかったりもする。やれ低周波だの、騒音公害だのという話も聞いていることはいる。費用対効果の問題ももちろんある。ただし、一度なんかあった場合の原発の被害の甚大さ、放射性廃棄物の問題、そのへんのもろもろ考えたときに、比較すれば風力のデメリットのほうが、ある意味よりましだろうと、まあそんな程度なのである。
私は「鉄腕アトム」と同時代の世代である。ご幼少の頃より、月刊「少年」だとかでワクワクしながら「アトム」を読んだクチである。ある意味「アトム」で人格形成したといっても過言でもない。ただしあまり優等生ではなかったので、主には「おそ松君」で人格形成してしまった帰来がないでもない。そういう世代だから、基本的には原子なるものに、実は満更ではなかったりもする。唯一の被爆国の国民であってもだ。
原子力の未来に胸躍らせた世代ではあるのだが、いろいろ見聞きするにつけ、やはり原子力はヤバイと思わざるをえなくなった。これはまだまだ人類が完全に制御できるような代物じゃない。人類がおもちゃにしてはあかん部類のものではないかと。まあこのへんは二十歳頃からずっと思い続けていることだ。それがフクシマの現実に直面して、やっぱり思ってたとおりではないかと、まあそういう実感のまま今日に至るというところだ。
だからあえて言います。多少のマイナス面はあってもいいから、とりあえず原発に代わるものをなんでも取り入れましょうよと。風車がぶっ倒れても、とりあえず周囲数10キロ範囲の住民が避難するなんてことはありえないのだから。風車の近くの畑のキャベツをつぶす必要だってないのだから。