ソーシャル・ネットワーク

TSUTAYAで借りてきて観た。今やアクセス数でGoogleを抜きユーザー数は5億に達するという巨大SNSの草創期を創業者マーク・ザッカーバーグを中心に描いた映画である。
わずか数年で巨大IT企業となったFacebookがどんな風に出来たか、あるいはFacebookがどんなものなのかは、実はこの映画を観てもよくわからない。予備知識がないとおそらくこの映画を観た限りでは、Facebookとは何なのかということがさっぱりなのである。
それでは面白くないかというと、実はけっこう観れる。なかなかに面白く、引き付けられる映画でもある。とにかくハイテンポで物語が進んでいくし、若手の役者さんたちも小気味良くてなかなかによろしい。
まあ一種の成功譚であり、アメリカの超エリート学校であるハーバード大学のなんとなくな雰囲気も伝わってくる。さらにいえば、オタク青年たちを中心とした青春物語としてみれば、きわめて秀逸なお話になっているといえなくもないのである。まあそれくらいかな〜。
少なくともこの映画を観て、Facebookに興味を持っていざユーザー登録するなんていうのは、なんとなく少なそうにも思う。だってとにかくFacebookなるものがなんなのかが伝わらない。興味がわくようには描かれていない。このへんが宣伝効果が薄いとして、たぶんそれが理由じゃないだろうけど、Facebookザッカーバーグからの協力は得られていないとも聞く。
さて日本でFacebookは普及するかどうか。インターネットは匿名文化として形成されているから、実名登録、実名公開が基本のこのSNSの成功はなかなかに難しいのではという観測が盛んにあげられている。実際のところ、私もそう思う。もともと日本のインターネットなどは、電脳エロ紙芝居みたいな形で普及したようにも思う。少なくともブレイク前後の事情としては、きわめて匿名的かつ、四畳半文化みたいな形で、こそこそ、うつうつみたいな風だったように記憶している。
ビジネスとしてはどうかというと、ほぼ完全に通信手段みたいなところだろう。この国では、自分の存在をネット上で公開してアッピールするほど、個が、自我が確立した市民社会は形成されていないと踏んでいる。さらにいえば、すでに匿名を前提とした形でのSNSサービスがけっこう普及しているのだろう、mixiとかそういうのが。
だからたぶん世界中に広がったSNSが唯一普及しないのが、実は日本ではとも思ったりもする。英語が公用語でもないしね。さらにいえば、北朝鮮と解放されないチャイナあたりもこのサービスはたぶん駄目だろうなという気もしないでもない。
ガラパゴスと軽く一言でいってしまえばそれだけのことなんだろう。
しかし、Googleにしろ、Facebookにしろ、わずかな期間でメガ企業になりあがるのは本当に驚異なことだとは思う。とはいえ、後幾つこういうラッキーなネタ、カードが落ちているのだろうか。もうないような気もする。それでも、どこかのラッキーな奴が今この時間にも、美味しいネタを考えついたばかりみたいなことも世界にはあるのだろうかしらん。