DVD複製家庭でも禁止

朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト
DVDやブルーレイなどに収録されている市販の映画やテレビドラマなどの映像ソフトをコピー(複製)する行為は、家庭内であっても違法になりそうだ。暗号化技術を使って保護されているソフトが対象で、保護を破るプログラムの製造や配布も禁止される。ネット上にあふれる「海賊版」を抑制するのが狙い。文化庁が3日、方針を固めた。
 文化審議会の小委員会のワーキングチームが報告書をまとめた。早ければ、来年の通常国会著作権法改正案を提出する。複製行為については罰則は設けない。
 映像ソフトを保護する技術は複数あるが、文化庁によると、現在は、情報を「暗号化」するタイプが主流という。この技術を破るプログラムがネット上などで公開され、指南本も市販されており、一部の人はパソコンで映像ソフトを複製している。
 現在の著作権法は、こうしたプログラムを製造・配布したり、このプログラムを使って家庭内で複製したりすることを規制していない。複製された映像がファイル交換ソフトなどでネット上に出回り、映画業界が問題視してきた。
 1999年の同法改正では、「信号」を付与してコピーを禁止する技術を破る行為を、規制の対象にした。当時、「暗号化」技術については、複製そのものを防ぐものではないとみなして、規制しなかった。
 文化庁は、小委員会で検討してきた、違法な海賊版ゲームソフトを使えるようにする装置「マジコン」の製造を禁止するのとセットで、著作権法を改正する方針だ。(赤田康和)

朝刊の社会欄に載っていた記事が何気に目にとまった。DVDのコピーとかが駄目になるのかと一機読みしたのだが、なんか今ひとつよくわからない記事だ。

映像ソフトをコピー(複製)する行為は、家庭内であっても違法になりそうだ。

えっ、今までは違法ではなかったの?

1999年の同法改正では、「信号」を付与してコピーを禁止する技術を破る行為を、規制の対象にした。当時、「暗号化」技術については、複製そのものを防ぐものではないとみなして、規制しなかった。

そういうことか。最近のDVDの映画とかは暗号化されているか、端から暗号化すらしていないものも多い。だからDVD ShrinkやDVD Decrypterとかでリッピングとかは普通にできていたわけだ。これも著作権法とかの兼ね合いでは、いくら家庭での私的利用でもいちおう違法は違法と思っていたのだが、そうでもなかったんだね。
映画ソフトについていえば、大好きな映画は基本購入する。でも廉価版が出ていないものや、それほど好きでもないけど、一応押さえに欲しいかなみたいなものはISOにしてハードディスクにためたり、それを焼いたりとかもしている。あくまで私的利用だから大目にみてよねというのがスタンスだったのだが、これって規制対象じゃなかったということなんだろうか。だとすればもっと大手をふってやっても・・・・、違うか。
しかし今回の文化庁の方針が反映されて著作権法が改正された場合は、明らかに違法行為となるわけだ。そもそもDVD Shrinkの頒布とかが相当に問題になるということなんだろう。普通にネットだダウンロードとかも出来なくなるのかもしれないし、雑誌の付録とかにつけることも難しくなるのだろうか。
でも記事の中ではこんな記述もある。

複製行為については罰則は設けない。

えっ、違法だけど罰則しない。う〜む、難しいな。これは市民社会にあって倫理性を問題にしているということか。
確かに映像ソフトにしろ音楽にしろ、もちろん著作権は尊重されなくてはならないとは思う。でもね、これまでの1回性の芸術作品が複製化されることになって、作り手の著作権とかはいろいろな意味で形骸化、あるいは変質してきたのじゃないかと思う。
さらにデジタル化されるにあっては、技術の進歩によりオリジナルの質感を損なうことなく複製が簡単にできるようになった。そういう世の中にあって法律で取り締まっても、いたちごっこでしかないだろう。そもそも技術革新を法規制で制限することは逆行という考え方もあるのじゃないかとさえ思うのだ。
そもそもコピーを禁止するということは、例えばバックアップはどうなるのかという問題もある。劣化や破損の場合はどうするのか。でも、かってレコードとかの時代にはどうだった。マニアは保存用に1枚、視聴用に1枚みたいなことをしていたのかもしれない。まあ金持ちの道楽的世界のなかでのお話かもしれないが。
さらにいえばコピーが蔓延するのは、ソフト自体がかなり割高だからではないかという部分もある。著作権切れのDVDやCDがワンコインの500円で売りに出されてヒットした。それらは1枚100円、200円で叩き売りされている。そうなればわざわざコピーなどの手間暇かける奴なんていないだろう。
音楽CDにしたって、大量に生産され、市場に溢れかえっている。だからわざわざ1枚丸まる購入などせずに、曲ごとにダウンロードするのが普通になってきている。1曲100円とかが普通なのだ。
さらにいえばコピー文化を支えているのは、世界ではあまり例のないレンタルサービスがあるからだともいえる。みんなTSUTAYAとか普通に利用しているだろう。たぶん音楽CDなんかは借りてきてパソコンに落として、それをiPodにというのが普通になっているだろう。
映画とかのDVDも今や普通にレンタルしてくる。ちょっと面倒かもしれないが、幾つかのリッピングソフトとかを用意すれば簡単にコピーができる。空のDVD-Rは50枚1000円くらい。1枚にすれば20円とかそういう時代なのである。これでコピーするなといっても意味ないだろうという気もしないでもない。
それならばいっそ著作権者はレンタルを規制する方向に動けばいいのだとも思う。でも今やレンタルサービスは音楽、映像ビジネスの基幹部分を担っている。ここに立ち入るのはおそらく自らの首を締めることにもつながるかもしれない。興味本位でTSUTAYAの株価をみてみたら、少し下がり気味のようでもある。あてずっぽう的にいえば、若干この記事とかの影響も出ているのかなとも思う。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)【4756】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
まあ家庭での複製行為を違法化すれば、当然レンタルについても心理的な影響も出るだろう。どうせコピーできないのなら、レンタルだけになるなら、レンタル料金もう少し安くできないのとか、そもそも借りるだけなら観ないみたいな方向にいかないだろうか、などと。
著作権法の改正が出来るなら行われないことを祈りたいとは思う。せっかく技術の進歩で、チープにコレクションを増やすことが可能になりつつあるのである。複製品を貸したり、売ったりなんてこと、これっぽっちも考えていないのにね。
ただし法律というのは、不遡及の原則の原則があるはずだから、これまでにやったことはとりあえず大丈夫ですよね、文化庁さん。