リタイア2日目〜ザッツ・ダンシング(That's Dancing)

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 リタイア2日目。勤めていた時と同じ時間に起き、子どもの弁当を作り、子どもと送り出す。9時過ぎにはカミさんもデイケアの送迎が来てお出かけ。一人での自宅生活です。

 朝からずっとしとしとと雨が降り続けているので、出かけるのをなんとなく躊躇する。短時間でも年寄りらしく近所の散歩でもしようかと思った雨だとなんとなく出不精になる。かといって車で図書館に行くのもなんとなく気が引ける。出来れば図書館とかも歩きか自転車で行きたいと思っている。リタイア後の生活一新がなんとなく雨で削がれるような感じだ。

 仕方なく本棚の整理をちょっとだけ。既読の本で実用書や時事問題系のものとか積読で多分読まないだろうなと思うものを50〜60冊ピッキングして紐で縛りつけて外に出す。次の紙ゴミの日に捨てることになる。多分読まないだろうなという本は実はもっとあると思う。なんとなく思いが残っているものは、ちょっと引っ張り出してまた本棚にしまう。本棚は前後2列になっているけど、奥のものをきちんと見ていくと多分捨てるものはもっと増えそうだ。

 狭小住宅に住んでいれば本の断捨離というのものはつきものかもしれない。横浜から埼玉に越してきたときも随分と本を捨てた。埼玉で2度引っ越したときも泣く泣く大量の本を捨てた。そのときは何か自分の一部が切り取られるような感じがしたけど、次第に割と普通になっていく。いつか読み直そうとか、いつか読むだろう、いつか読みたい、ということで膨れ上がった本なのだが、そのいつかがどんどん定量的に減っていくのである。

 いつか8畳とか10畳の書斎があって、壁中を本棚にして本に囲まれて暮らすみたいなことを思ったものだが、それはどうも果たされないままに人生は終わることになる。まだ自分の部屋、6畳間があるだけ幸福なのかもしれないと思ったりもする。

 これからは本を買う頻度も減るように思うし、読んだ本は片っ端から捨てていくことになるのだろうと思う。どうせ死んだら全部処分されちゃうに決まっているのだから。

 本を縛り外に出してからはやることがなくなる。始めようと思っている英語の勉強もなんとなくおっくうである。それで先日見つけた『ザッツ・エンターテイメント』の番外編、『ザッツ・ダンシング(That's Dancing)を観ることにする。この映画はミュージカルのダンスシーンだけを集めたものだ。『ザッツ・エンターテイメント』はすべてMGMミュージカルだけで三部作あったのだが、この映画は他の映画会社、アステア&ロジャースのRKOやワーナーなどのものも収録されている。


That's Dancing - Opening Scene (1985)

 1984年製作で『ザッツ・エンターテイメント』のパート2(1976)とパート3(1994)の間に位置する。古い初期のミュージカルから新しいところでは『サタディー・ナイト・フィーバー』、『フラッシュダンス』といった新しい映画のシーンも入っている。

 この映画の白眉はというと、個人的にはRKOのアステア&ロジャースの名シーンが収められていること、そして俯瞰による群舞撮影によりミュージカル映画を新たな地平に導いたバズビー・バークレーにスポットをあてていることかも。


1930s Warner Brothers Musicals

 バズビー・バークレーについては『ザッツ・エンターテイメント』でも一部取り上げられていたが、それはほとんどのところミッキー・ルーニージュディ・ガーランドの学園ものミュージカルの部分であったように記憶している。彼の奇抜な演出はルービー・キラー主演映画は『ザッツ・エンターテイメント』でも取り上げられてはいたが、ワーナー映画により集約されている。しかしこの万華鏡のようなシーンは奇抜というより、今風にいえば奇想とでもいっていいのではないかと思う。1930年代、ミュージカル映画においてバズビー・バークレーは天才として名を馳せた。

 バズビー・バークレーは映画監督としてのキャリアと同時にコレオグラファー=振付師としても有名なようで、監督作品だけであく振付とダンスシーンの演出で異彩を放っている人だ。キャリアは戦前に集中しているが、戦後も監督作品はいくつかある。ただし戦後は映画よりもブロードウェイの舞台演出で活躍したようで、意外に長命でもある。1986年に80歳で亡くなっている。

バスビー・バークレー - Wikipedia

 この映画のDVDは実はVHSからダビングしたものだ。大昔、レンタルビデオが出始めの頃、ビデオ店ではダビングサービスをやっているところが多かった。一本3000円くらいでテープを含めると5000円近くかかったように思う。今思うと、著作権的には問題ありなのだが、当時VHSのソフトは一本2万円近くしたので、コレクションしたいとなるとこういうサービス利用もあった。またある時期まではコピーガードがかかってないのが普通だったから、VHSのレコーダーを2台所有していればダビング出来たりもした。

 まあ個人で楽しむだけなのだけど、そうはいっても違法といえば違法かもしれないが30年近く前のことなので、多めにみてもらえるとありがたい。そうしたVHSの映画を何本か持っていてそれをさらにDVDにしたのが辛うじて残っている。そうVHSのレコーダーは家にまだ1台あるけど、もうテレビとは接続していない。映るかどうかもわからない。

 VHSでテレビから録画したものはそれこそ映画、サッカー、MTVなどで多分数百本あったと思う。2000年代のある時期、そうしVHSテープをひたすらDVDにダビングしていた時期がある。主にはサッカーのワールドカップものが多く、マラドーナの5人抜きとかジーコソクラテスプラティニが戦った試合とかも持っている。あとは初期のJリーグとか日本代表ものとか。そうそう、マイアミの奇跡も持っていたりもする。

 話は脱線した。『ザッツ・ダンシング』もそうしたDVDの一つとして、サッカーのDVDファイルの中に入っていた。それを最近見つけ出して暇になったら観ようと思っていた。とりあえずリタイアして最初に観た映画が『ザッツ・ダンシング』である。