房総の海で鮫と戯れる

アクアラインは入ったとたんにいきなりの大渋滞。通行料800円のおかけなんだろうね。でも房総半島へのアクセスは本当に楽になっている。多少の渋滞とはいえ都心を通ってぐるっと行くのに比べればはるかに早い。便利な時代になったとつくづく思う。
千葉県に入って最初に向かったのが富津岬。車走らせていて標識見つけて衝動的に行ってみたくなった。横浜に住んでいた子ども頃、三浦に遊びに行ったときに東京湾越しによく目にしたところである。父からよく、あのへんが富津、あそこらが館山、あのギザギザの山が鋸山と教えてもらったところだ。細長い砂州東京湾に突き出ているそこに一度行ってみたいものだと思っていた。
幹線道路が脇にそれて15分くらい走っただろうか、県立富津公園の入り口があり両側にキャンプ場、海水浴場があり、さらに進むと突端付近にも駐車場があり、やや近未来的な作りの展望台がある先端部分に到着する。
車を降りて最初に展望台を登る。妻も杖で登ると言うので手をとったり後ろで支えたしながら一緒に行く。健常者ならたぶん1〜2分もあれば登れてしまうところにへたをすれば20分、いやそれ以上かかる。妻もしんどいだろうに、言い出したら意外ときかない。こっちもついているとけっこうしんどい。まあしょうがないのだけど。
最上部からは東京湾越しに横浜や東京が一望にできる。それもなかなかの景色なのだが、それよりも階下の富津の海が面白い。海岸から少し離れたところが干潟になっていて子どもの膝くらいのところまでしか水がない。何組かの家族がそこで水遊びをしていた。なんか楽しそうな風景である。

展望台を降りてから、妻を車椅子に乗せてから娘と二人で波打ち際で遊ぶ。突端部分の脇の浜辺は水遊びやバーベキューができるようになっていた。波打ち際にはたくさんの海草が打ち寄せられていて、その上を歩くととブスブスいっている。ふと水辺を見てみるとやや大型の魚がいる。なんだこれはと良く見てみると鮫なのである。鮫?それも生きたやつが浅瀬をゆっくり泳いでいる。迷い込んだのだろうか、しばらく眺めていたのだが沖に泳ぎだすでもなく、手をのばせば触れそうな場所を右往左往している。

すぐに娘を呼んでしばらく二人で鮫を眺めて遊んだ。娘が棒をもってつつこうとしたのでいちおうやめとけといった。鮫の種類はなんだろう。見た感じ歯とかはなさそうにも思う。大型種の子どもという感じもしない。よく水族館などで見かけるドチ鮫あたりかと推測した。
なんかこういう光景、昔映画で見たことがあるぞ思った。たしか「チコと鮫」だったか。南太平洋あたりの島で小さな男の子がこんな風に浅瀬に迷い込んだ傷ついた鮫の手当てをし飼育するようになる。鮫はどんどん大きくなるが二人仲良くなってみたいなそんな映画だっただろうか。最後はどうなったけ、確か青年になった男の子がガールフレンドと二人で鮫と一緒に暮らすことを選び、誰も知らない島へと向けて旅立つみたいなそんな話だったかな。
鮫と男の子が初めて仲良くなる場面で、男の子が鮫に向けてウィンクをすると鮫がウィンクし返してくる。鮫のウィンク、それがなんとも奇妙で楽しかった。この映画、もう一度観たくていろいろ探してはいるのだが、いまだDVD化されていない。ユーチューブで映画の一部がアップされていたが、どうにも色あせてしまい、あの美しい南国の海の雰囲気が失われてしまっていた。
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富津岬の鮫の話に戻そう。次第に他の子どもとかも集まってきた。みんな物珍しいのだろう。そのうちに子どもたちの親も来て鮫の捕獲が始まる。尾びれをもって波打ち際の陸上にひっぱりあげる。鮫はもう弱っていてあまり暴れない。

子どもたちも棒とかで少しつついたりしていたが、殺そうとはしない。少し飽きたのか、あるいはやっぱり目の前で死なしてしまうのも嫌なのか水辺に戻すのだが、もう鮫はあまり泳ごうともしない。たぶん小一時間もしないうちに腹を上にして死んでしまうのだろう。そうならないうちに娘と二人で妻のもとに戻る。妻は車椅子に座っているのも飽きたようでそのあたりを杖で少し歩いていた。