「パコと魔法の絵本」

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パコと魔法の絵本 - Wikipedia
http://www.paco-magic.com/index.html
昨日、ワカバウォークで観た。予告編とかでなんとなく面白そうだと思っていたし、「下妻物語」「嫌われ松子」の中島哲也監督だし、ということで初日を思わず観にいってしまった。いつものように車椅子の妻と娘の三人で。まあ二人とも観たい、観たいと言ってましたから。
感想は、面白かったですよ。けっこう泣けたし。CGを駆使したアニメと実写の合成は好き嫌い分かれる部分かもしれないけど、スクリーン上にテンポよく絵本世界を描き出す方法論として考えれば、これはきわめて端的に言わせてもらえば、「あり」です。
ハデ、こてこて、原色中心の色づかいは「嫌われ松子」の映像世界をさらに先鋭化させたみたいだし。アニメと実写の融合は「下妻」の発展系でもある。中島監督の映像世界は確実に進化しつつ、新たなステップを踏み出していると言えると思う。
そしてあの書割のような、きわめて作り物っぽいセットは、これぞまさしく映画だと思う。これが映画なんだよな〜と、うんうん頷きながら観てしまった。古きよきハリウッド映画へのオマージュみたいなものとか、なんか映画的文法みたいなものを強く意識してしまったな。まあ思いつきみたいなものだけど。
役者さんについていうと、とにかく主人公のパコ役、アヤカ・ウィルソンの可愛らしさは尋常じゃない。真性美少女キャラだし演技もうまい。綺麗で可愛くておまけにうまい。こういう子役が出てきたら、もう誰も勝てないだろうと素直に思う。
それに対抗できるとしたら名優たちの突出したキャラによる怪演技だけだろう。もちろん役所広司も今回は姿形からしてとんがったキャラの役どころを見事に演じているとは思う。でも脇がすごすぎるんだな。まず女性二人、土屋アンナ小池栄子土屋アンナのぶっとび強持て看護婦は凄すぎる。基本「下妻」のいちごの延長上なんだが、その強持てぶりは一皮も二皮もむけて・・・、いやなんつうかもう突き抜けてしまったようなそんな演技だな。しかしこの人はもうこのキャラ定着してしまうんだろうな、強持てが。小池栄子もすごいキャラでとんがっている。名演技だと思う。でも土屋アンナが掻っ攫っていっちゃうんだよな。
そんなすごい女優人よりもさらにすごいのが、やっぱり阿部サダヲなんだろうな。この映画の中での狂言回しでもあり、なんだかわけのわからないキャラホリゴメを演じるこの男の怪演技はぶっとんでいる。ほとんど浮きそうなくらいとんがった演技、ギャグのオンパレードなのだが、なんとか踏ん張っていた。最後から最後までぶっ飛び演技=ギャグで笑わせてくれる。この男に勝てるのは、この映画の 中では唯一、う〜んと、アヤカ・ウィルソンの可愛らしさだけではないかと思う。
映画は1日しか記憶が保てない少女のために、彼女の心の中に記憶を残したいという一身で彼女のために彼女が愛読する絵本を劇化させるというドタバタなんだ。
この記憶障害という重いテーマは、ドリュー・バリモアの「50回目のファースト・キッス」でも取り上げていたっけ。
とりとめのない感想の羅列だけど、この映画私はきわめて明確に好きだ。