自民党総裁選について

突然の福田首相の辞任から始まった次の自民党総裁=日本国の首相選びは、5人の候補者が乱立することになったわけだが。まあ、はっきり言って茶番だよな、これ。無投票で選任された小沢民主党に対して、いかにも多数の人材がおります、活気がありますみたいな感じで例の旧態以前とした劇場型のドラマを演出しているのだろうけど、役者に力がないし、なんつうか学芸会みたいなものだよ。
だいたいにおいて麻生がなるとわかりきっているのに、とりあえず盛り上げようと無理矢理やっているのがミエミエだし。だいたいにおいて与謝野とか石破とか石原とかってなんだよ、急に総裁候補ってでてきて。メディアの露出度高くするのは総裁になって首相になってとかとは別の動機からじゃないのと疑いたくなる。
週刊誌によると本人たちの総選挙対策だとかという話もある。確かに小池百合子は前回小泉郵政選挙で刺客として東京の戦局に落下傘候補として出てきたはず。選挙区にあんまり馴染みないし浮動票目当てに総裁選出て露出多くしてみたいなところが見え隠れしていないか。同じく東京が選挙区の与謝野は、いつも民主党海江田万里と競い合っている。今回は民主党に風がなびきそうだからけっこう危ないという話もある。総裁選立候補は明らかに選挙対策だろう。
今回選ばれる総裁は近々に予定される総選挙の自民党の顔となるべき人物を選ぶ選挙だ。一般的には国民的な人気があるとされる麻生が鉄板だ。意外性があるとすれば小池か石原あたりだろうか。でもここまでいくと最早選挙は政治は、なにか別のものになってしまうような気がする。それこそキムタクの朝倉総理みたいな感じか。とはいえそこまで国民もアホではないような気もするし、いやでもやっぱりこの国の政治の停滞は、民意の表れだから、石原あたりを自民党の顔にもってきて、総選挙では石原軍団が大活躍したりすると意外や意外、けっこう票伸ばしそうな気もするしな〜。
でも総選挙は自民が勝っても民主が勝っても、政界再編に向かうような気がしてならない。前回の郵政選挙自民党は大勝利した。それに対して昨年の参院選では民主党が勝ち、ねじれ国会が始まった。となると国民のバランス感覚としては続けて民主党が勝つとは思えない。とはいえ自民党に大勝させてもろくなことがない。てなわけで僅差で自民党が勝つというのがなんとなくの予想だ。となるとねじれ国会はまったく解消されない。それは国会運営がうまくいかない、行き詰る、安倍、福田に続く・・・・・、みたいなことになる。だから自民党が勝った場合は、すさまじい民主党に対する切り崩しがあるだろう。それ以前に小沢自体が大連立に向けて画策する可能性もある。というわけで民主党がまず分裂する。
逆にもし民主党が勝ったら。少なくともねじれ国会は解消されるかもしれない。しかし自民党という政党は原則政権党なのである。いや政権党であるということにしか存在意義がない政党なのだ。となるとまず分裂解体し、民主党になだれ込む議員が多数でてくる。その過程で民主党も分裂する可能性もある。例えば旧社会党系、民社党系が離脱する、させられるとか。あるいは民主党内でもタカ派ハト派で分裂するとか。
だいたいにおいてかっての自民党は、外交、改憲とかについていえば福田派、現在の和会系はタカ派である。それに対して津島派、かっての田中派ハト派である。ここのところずっと森、小泉、安倍、福田と清和会=旧福田派が政権を担当してきている。今回、民主党が勝てば小沢政権、ようは旧田中派の政権ができるということなわけだ。となると今の自民党内でかっての小沢の同士が合流する可能性だって無きにしも非ずだ。小沢はそういう画策を多分やるだろう。
民主党が総選挙に勝つにしてもたぶん僅差のはずだ。衆院参院それぞれで多数はとなったとしても磐石ではない。となれば自ずと政界再編が政局のメインテーマになるだろう。
今回の自民党の総裁選びは、そういう視点からすればひょっとすると最後の総裁選びというきわめて象徴的な選挙になるのかもしれない。それを考えると今出ている5人はなんとなく役不足なのではとも思う。政界再編となるともう一人の主役になるかもしれない元首相小泉純一郎がどう動くかということもある。噂される小泉新党はあるのかないのか。もしやるのなら解散と同時に動かないとあかんだろうな。選挙が終わってからでは彼が影響力を行使できる手足が激減してしまうだろう、例の小泉チルドレンたちが。だから麻生が解散総選挙に打って出たタイミングを逃したら、たぶん新党はないようにも思うよ。
もし小泉新党が立ち上がったら、選挙ではけっこう強いかもしれないな。連日マスコミにも登場するだろうし、まさしく劇場型政治の再来となるから。でも、今の格差社会の突出した姿も、例えば悪評高い後期高齢者医療制度にしろ、みんな小泉政権の結果でしかないということに、どこかで国民も気づくかもしれない。

歴史は二度繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として

まあマルクスの有難いお言葉もあることだし。