セルジオ・メンデス

ヴェリー・ベスト・オブ・セルジオ・メンデスとブラジル’66
TUTAYAで借りてきた。これも懐かしいグループだ。小学生から中学生の頃になぜかはまっていてシングル盤を何枚かもっていた。思えばこのセルジオ・メンデス ブラジル’66でボサノバの洗礼を受けたんだなとも思う。スタン・ゲッツアントニオ・カルロス・ジョビンとかを聴くのはもっと後だったはずだから。あと確か大阪万博の頃に来日した時のライブをテレビで観たのがずいぶんと記憶にも残っている。
改めて聴いてみると、なんともはや懐かしいカクテル・ラウンジ・ミュージックっていう感じだ。セルジオ・メンデスはこの頃、同時代のポップ・ミュージックを積極的にとりあげてボサノバ化している。このベスト盤にもビートルズの「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ」「フール・オン・ザ・ヒル」「ノルウェーの森」「デイトリッパー 」の4曲が収録されている。セルジオ・メンデスがとりあげたビートルズのすべてといってよさそうだ。他にもS&Gの「スカボロー・フェア」なんかもとりあげている。これはセルジオ・メンデスの趣味というよりも、A&Mレコードの副社長でもあったプロデューサーにしてスター・トランペッターだったハーブ・アルバートあたりの趣味なのかもしれんと密かに想像している。
A&Mレコードは当時新興レコード会社だったのだが、ハーブ・アルバートセルジオ・メンデスバート・バカラックといったスターががんがんヒット作を連発していた。さらにいえば、ヴァーブの名プロデューサーだったクリート・テイラーを当時、確か100万ドルという破格の移籍金を払って引き抜きCTIレーベルと作って、先進的なイージー・リスニング・ジャズのジャズを造りだしたわけだ、確か。さらには70年代にカーペンターズというスター・グループの登場によりメジャー・レコード会社になったんだと思う。
というわけでセルジオ・メンデスのアルバムにもジャズ・テイスト(元々メンデスはジャズ・ピアニスト系だったんだよな)やイージー・リスニング・ジャズの雰囲気が大いに漂っている。これもA&Mというレコード会社の性格みたいなものなんだろうなとも思う。
このアルバムを聴いていると、セルジオ・メンデスを通じてずいぶんといろいろな名曲に出会ったんだな自分はとつくづく思うわけだ。バカラックの「恋の面影〜ルック・オブ・ラブ」もそうだ。たぶんメンデスで聴いてからバカラック・サウンズをいろいろ聴き出したように思う。さらにいえばこの「ナイト・アンド・デイ 」が最初に意識して聴いたコール・ポーターだったのかもしれない。ひょっとしたらだよ「ディ・トリッパー」なんてビートルズで聴くよりも先にこっちで先に聴いたのかもしれない。
そんなことを思って聴くと、けっこうセルジオ・メンデス ブラジル'66って、自分の中では原点的な存在なのかもしれないなとも思うわけだ。今回聴いてベストだと思ったのは「君に夢中」。これについていえば、ある意味30数年ずっと変わらないな。
いろいろ検索してみると、オリジナル・メンバーにしてメイン・ボーカルのラニ・ホールが後にハーブ・アルバートの奥さんになっているという記事にでっくわした。へーっていう感じですね。ラニ・ホールの声って透明感があってけっこう好きですな。なんとなくだが、シンガーズ・アンリミテッドのボニー・ハーマンと共通するようなイメージです。うまく言えないのですけどね。
このベスト盤を聴いていて、いつものベスト盤の憂鬱にかられてしまった。なんでセルジオ・メンデス ブラジル'66のベスト盤なのに「コンスタント・レイン」が入っていないのだとか「ジョーカー」はどうしたとか。やっぱりセルジオ・メンデスといえば「♪♪シュビ シューバー♪♪」だろう、「♪♪ジョーカー♪♪」だろう、などとぶつぶつ思ってしまった。とはいえけっこう楽しめる納得の一枚ではありました。