ハービー・マンを最初に聴いたのは多分小学生の高学年か中学生くらいの頃だ。ジャズに関してはたいていの場合、兄の影響で聴くものが多かったが、ハービー・マンも同様だ。兄が持っていたアルバム、いやへたするとEPレコードだったかもしれない、そこで「Comin' Home Baby」を聴いたのだったと思う。
しかし、考えてみればこと音楽に関しては兄からの影響で聴き始めたものは多い。ジャズでいえば、コルトレーン、MJQ、リー・モーガン、アントニオ・カルロス・ジョビンなどなど。もちろんロックではビートルズもそうだ。
最初は兄が持っていたレコードを横で聴いていて、そのうちに兄がいない時に自分でもかけてみて、そうやって音楽の素養を広げてきたのかもしれない。自分にとってはかけがえのないものたちを兄は教えてくれたのかもしれない。そんなことを改めて思ったりもする。
しかしハービー・マンについていえば、その後自分からはあまり聴くことがなかった。最初はハービー・マンやリー・モーガンの「サイド・ワインダー」など、いわゆるソウル・ジャズ、あるいはジャズ・ロック風味のものを好んで聴いていた。まあビートルズだし、ロックだったし、そういうところの方が入りやすかったのだと思う。
それからはCTIのイージー・リスニング系にいき、大学に入ったあたりからはじょじょに王道のモダン・ジャズにシフトしていった。そうなるとハービー・マンのようなソウル・ジャズ系は歯牙にもかけないようなことになった。まあ粋がっていたのだろう。
今回、SNSでハービー・マンについてのツィートを見て、なんとなく聴きたくなった。残念ながら自分は多分一枚もこの人のアルバムを持っていない。巡り合わせとしか言いようがない。そこでとりあえずベスト盤から入るかとポチったのこれだ。
収録曲は以下のとおり。
1. COMIN’ HOME BABY
2. MEMPHIS UNDERGROUN
3 .PHILLY DOG
4. A MAN AND A WOMAN
5. THIS LITTLE GIRL OF MINE
6. COMIN’ HOME BABY( at the Newport Jazz Festival)
フランシス・レイの「男と女」が入っているのはご愛敬っていうところか。
しかし改めて聴いてみるとこの人がある意味ではジャズの先駆者だったということがわかる。ソウルやロックとの融合もさることながら、60年代初期にブラジルのミュージシャンを招集していること、その中にはアントニオ・カルロス・ジョビンやバーデン・パウェルらもいた。ハービー・マンはスタン・ゲッツとは別のチャンネルからボサノヴァをアメリカに紹介したミュージシャンでもある訳だ。
さらに69年から70年にかけては、ロック系ミュージシャンやソウル系ミュージシャンを起用したアルバムも多数作っている。
さらにいえばハービー・マンはヒット曲を多数もっているジャズ・ミュージシャンでもあった。売れたミュージシャンという意味ではマイルス等に匹敵するものがあるのかもしれない。
少しこのミュージシャンのアルバムをあさってみようかなどと少しずつ考え始めている。