近代美術館(MOMAT)へ

 二日続けで都内に出た。いずれも午後からの会議。昨日はその後暑気払いで銀座に出て遅くなったので、今回は会議終了後早々に引けた。その後久々、竹橋の近代美術館(MOMAT)へ。
 まずは特別企画展をやっていたゴードン・マッタ=クラーク展へ。
ゴードン・マッタ=クラーク展 | 東京国立近代美術館
 建築系のアーティスト兼パフォーマーらしいのだが、正直まったく初めて聞く名前。建築物を切断したり、穴を開けたりすることで空間を変容させるとかいうことらしいのだが、観る前も観終わってからも、その全貌どころか片鱗すら理解できなかった。古来からこういう時は「理解するな、感じろ」ということなんだが、オジサンにはどこが面白いのか、そこに美的な何かがあるのかも理解できない。
 建築系のアーティストというのが、そもそもよく判っていなかったりもする。昔勤めていた出版社の社長が、建築学は日本では理科系に属しているけれど、そもそもヨーロッパでは人文科学の範疇にある、建築学は芸術、アートなんだと教えてくれたことがある。その時は、ふ〜むという感じで、まあガウディとかライトとか、コルビジェとかはそういう風に理解するものなんだろうなと思ったもんだ。
 とはいえこのゴードン・マッタ=クラーク、これはハードルが高い。活躍したのは60年代から70年代にかけて、才気ある秀才タイプだったらしいが、惜しむらくは30代半ばで早世したのだとか。二十代から古い取り壊し前の民家を真っ二つに切断したりというほとんどパフォーマー的な制作行為を行い話題を集めたという。そしてそれはだんだんと大がかりとなり、ニューヨークブロンクスで旧いビルの切断を行い、またパリでは19世紀に建てられたビルに穴を開け、その穴から見える風景を写真に収めたりなどなど。
 拙い知識から言えば、建築物の空間に人為的に切り取り、そこに詩的な異化効果を表出させるみたいなことか。とはいえこれは困ったことにまったく理解を超える。正直、どこが面白いのやらなんやら。だって、これだもん。