池澤夏樹の反原発論

朝日夕刊の文化欄に池澤夏樹の「終わりと始まり」というコラムが連載されている。今回は反原発についての小気味よい論説が展開されている。題して「間違いだらけの電力選び 原発一票で意思表示を」。
その小気味良さを一部引用してみる。

国際社会という場で考えるならば、我々は恐ろしく恥ずかしいことをしてしまった。事故を起こして大量の放射性物質を大気中と海水の中に放出したのだ。この事実に対して、野田氏(総理大臣)の演説は反省の言葉として誠意時が感じられるだろうか。原発の輸出は倫理的に許されるだろうか?
世界一と言えば、日本は世界で最も地震と噴火と津波の多い国である。いくら形容句を重ねても安全な原発はあり得ない。軽い言葉に頼った結末がフクシマだったのではないか。
子犬が室内で粗相をしたら、その場へ連れて行って、鼻面を押しつけ、自分が出したものの臭いを嗅がせて頭を叩く、お仕置きをして、それはしてはいけないことだと教える。そうやって躾けないかぎり室内で犬を飼うことはできない。
我々はこの国の電力業界と経済産業省、ならびに少なからぬ数の政界人から成る原発グループの首根っこを捕まえてフクシマに連れて行き、壊れた原子炉に鼻面を押しつけて頭を叩かなければならない。

同感である。