矢作のTwitterが面白くて

twitterがけっこう見るほうである。フォローも幾つかしているが、その中でも愉しみにしているのが矢作俊彦。この作家とのつきあいも長い。30年はゆうに越している。彼のバカを装いつつもその裏に隠れ見えるインテリジェンス、ライフスタイルとしてのハードボイルドへのこだわりはもはや規範を超えた倫理性へと昇華している、とは言い過ぎだろうか。などとなにを言っているのか自分でもわからない。
古くは『マイク。ハマーへの伝言』、『リンゴ・キッドの休日』やコミックの原作かつ主人公としても登場する『気分はもう戦争』あたりからずっと愛読している。カート・ヴォネガット亡き後、新刊が出ると必ず購入する作家は村上春樹と矢作だけになってしまったというくらいの、まあ普通の愛読者である。
その彼のtwitterが面白い。いつものシニカルな揶揄は様々な事象に向かうのだが、その他にもツィートでファミリー・アフェアならぬ親子ゲンカを始めたりもするし、もうどこまでが真面目か、どこからがフィクションなのかもわからない。
そのtwitterで矢作が汚染地帯フクシマに取材したルポが連続ツィートされている。おそらく「ENGINE」に掲載されるだろう作品のサワリの部分なのだが、これがなかなかに面白い。ある種、フクシマの除染ビジネスの末端部分をえらいことエグっている。こりゃ掲載されるだろう「ENGINE」は買わなくちゃならないだろうなと思ったりもする。と、そこでこりゃ連載記事の自己宣伝なのかと気づいてみたりもする。ようはトレイラーをtwitterでやってみたということかと。矢作さんなかなか欧米の作家みたいでスゴイことと一人ごちてみる。
とりあえずさわりの部分だけリンク。
矢作俊彦 on Twitter: "禿の家系に生れ、小学校のころ、アメリカの原爆実験のたび、雨に当たると禿げると母親に言われ、あれほど恐れていた放射能にもめげずフクシマに通って書いた『除染』レポートがやっと片づいた。隔月3回連載だったので、最初の回は公表してかまわないとスズキさんに許可を得たので、順次ツイートする。"
矢作俊彦 on Twitter: "K君に初めて会ったのは、4月の終わり、福島の浜通りは桜の盛りだった。私たちはある友人に案内されて、2キロも続く桜並木を堪能した。出店どころか、車一台、人っ子一人来ない桜並木を。
東京電力福島第一原発(フクイチ)から直線距離にして8キロ足らず、"

矢作俊彦 on Twitter: "『あるところで計りゃ、毎時30マイクロシーベルト(μSv)以上あるでしょうね』友人は平然と呟いた。
年間20mSvというのが、原発作業員の被爆限界値だ。文科省は去年4月学校などにこの数値を押しつけ、物議を醸し、撤回に追い込まれた。"

矢作俊彦 on Twitter: "20mSvは20000μSv。30×24時間×365日で262800μSv。約13倍!
これは危険だ。しかし、完璧な静けさの中でこれほど美しいものを見たんだ。少々寿命が縮んでも、それはそれで仕方ない。"