国リハへ

会社を半休とった。二ヶ月ぶりにまた国リハへ行って来た。そして退院してから1年が経った。今回の目的はまたまた妻の診断書を書いてもらうため。団信保険を再請求してみるつもりだ。前回は昨年8月に請求を出したのだが、11月くらいにあっさり不適用ということで書類一式つっかえされてきた。まあ、身障手帳についても要再認定みたいなことになっていたし、年齢からいっても症状が良くなる可能性もあるのだからということなのだろう。それでなくても片麻痺というのは、保険会社の高度障害の基準からいうとほとんど適用されるのは難しいということだから。
とはいえ妻の片麻痺は左上肢、左下肢とも機能全廃なわけ。確かに自分で関節を曲げることはおろか、とにかく自律運動などまったくできない。ただついているだけ、しかもここんところは硬縮もひどくなっているという代物なのだ。
保険会社の基準からすると、一上肢を肘関節より切断された場合かつ一下肢の機能が永久に失われた場合とか、その逆で一上肢の機能が永久に失われかつ一下肢を膝関節より切断された場合には高度障害と認定されるみたいなことが書かれている。ようはついているか、ついていないかが判断基準になっているみたい。ついていても機能が失われているのはどうしてくれるんだろうと、ぶつぶつぶつぶつ言いたくなってしまう。
まあ、身障手帳も要再認定みたいな文言もなく、ある意味医師からも国だか自治体だかからも、妻の片麻痺はもう治りませんと認められてしまったわけなので、ダメもとというか無理だとは思うけれど、とりあえず再度申請してみようと思ったわけ。まあ、一種の儀式みたいなものだな。
医師はきちんと対応してくれた。最近、妻が頭痛を訴えることが多いのでそのことを話してみると、一度きちんと脳外科で診てもらうほうがよいだろうとすすめてくれた。そういえば、去年退院する時にも一度医療センターにいって診てもらうようにと言われていたのに、ずっと反故にしてきている。そうだよな、きちんとCT、MRIをとってもらう必要性があるんだよなと改めて思った。
妻は最近、頭痛とともに形成してもらった頭蓋骨の部分がどこか窮屈な感じがするとしばしば訴えてくる。確かに形成した部分が扁平で、所謂頭蓋骨のように丸くなっていないのだけれど、だからといって脳を圧迫するような作りにはならないだろうとも思う。だからそれは気のせいじゃないかとよく話をする。今回も国リハの先生にもそのことを話すと、医師は笑いながら、こんなに良くなったのだから頭蓋骨が多少ずれていてもいいじゃないかと軽口を言っていた。まあ、頭蓋形成において脳を圧迫するようなかぶせ方はいくらなんでもありえないということが前提なんだろうとは思う。
診断の後、妻はPT室に一人で行った。担当だったPTの先生とは軽口を言い合うくらい仲良しなので会いに行ったようだ。その間に私は会計をすませた。それからお世話になった担当看護師が外科病棟に移っているので、そこへ行ってみたのだが夜勤明けで帰られたとのことだった。そういえば二ヶ月前にきた時も同じように夜勤明けで会えなかった。その看護師には一方ならぬお世話になった。とにかく熱心で、親身になって妻の看護を行ってくれた。退院した時もちょうど非番だったので最後のお別れができなかったし、退院してから3〜4回国リハを訪れているのだが、一度も会えていない。それがちょっとばかり残念だった。
次に国リハを訪れるのは、多分障害者年金の申請のための診断書の作成依頼をする時なんだろうなとなんとなく自分の中で決めている。その手続きである意味、妻の障害者としての人生の既定路線が定まる。なにかそんな気がしている。妻にとっても、我々家族にとっても先の見えない、長き灰色の線だ。今はその出発地点で右往左往しているだけにすぎないのだと、実感するでなく、予感でもなく、漠然とそんな思いがしている。