府中市美術館「江戸絵画お絵かき教室」再訪 (5月7日)

 始まってすぐの3月に行ったときに、展示品の入れ替えが多数あるので何度か行きたいみたいなことを思っていたのだが、なかなか時間がとれず会期最終日にぎりぎり行ってきた。

 企画展の感想としては前回あらかた書いているので、今回は補遺みたいなものか。

 この企画展は情報量も多く、お描きイベントを常時開催しているなど、コンテンツとしてはとにかくてんこ盛り。キャプション、解説なども読み込んでいくとえらく時間がかかる。前回はもう全然時間がなく、常設展示はほとんど観ることできなかった。今回はというと、3時くらいに入ったのだがなんとなく余裕。やはり一度観ていると楽というか。今回は日本画の画法、技法の解説もだいたいスルー。作品をさらっと観ていく感じだった。

 府中市美術館の応挙や蘆雪のかわいい狗子図などユルカワ系の企画展は、実はさらっと流すように観る方がいいのかもしれないと思ったり。真剣にというか、作品と対峙するみたいな鑑賞は実は必要ないのかもしれない。まあ緊張感なしに観ていると、だいたい1時間かそこらでさらっと流して観ることできる。リラックスしながら絵を観る、これは本来的には正しい鑑賞方法かもしれない。

 いちおう後期展示の目玉的には応挙の狗子図屏風、岸駒の虎、そして府中市美術館の秘蔵の超目玉、徳川家光のヘタウマ絵あたりだろうか。みんな面白いけど基本ゆるい。

《狗子図屏風》 円山応挙 1778年

 これはもうカワイイ屏風だ。ただし応挙のカワイイ狗子図はひょっとしたら、屏風よりも掛軸とかそういう小品の方が向いているかもしれないと、ちょっと思ったり。

 

《山水人物図押絵帖屏風》 亜欧堂田善 19世紀前半 須賀川市立博物館

 司馬江漢とならぶ江戸期の洋画家。47歳で白河藩松平定信に見い出されたという。図録によれば円山四条風の作品も多いとか。ウィキペディアで経歴を確認すると、同じく松平定信に仕えていた谷文晁に洋風画を習い、以後銅版画、油彩画を独力で習熟したようだ。その後、江戸の町絵師に戻ってからは日本画に移ったという。この作品も町絵師に戻った晩年の作品のようだ。

亜欧堂田善 - Wikipedia (閲覧:2023年5月14日)

 

《兎図》 徳川家光 17世紀前半

 そしてオオトリ作品、元祖ヘタウマの家光の《兎図》。これは去年も観ているのだが、なんとなく府中市美術館というとヘタウマ家光というイメージが自分の中で定着しつつある。そう牛島憲之でもなく、明治初期の洋画でもなく、なぜか家光。これって府中市美術館にとっては迷惑なイメージかもしれないけど。