今年の正月は箱根に行ってきた。
富士屋ホテルで過ごしてきました的な話ができればいいが、健保の保養所の抽選があたったから。一泊6千円二食付き。貧乏人には有難いことで。
ここ数年、正月の保養所はずっと日光に行くことが多い。たぶん極寒の日光はさほど人気がなく、比較的抽選が当たりやすいというだけのこと。なので正月の美術館の初詣も小杉放菴記念日光美術館に行くことが多かったりして。
今回はたまたま箱根が当たった。まあ日光よりは温暖な感じもする。
正月の宿も元旦、二日は避けて三日からで予約する。これも抽選に当たりやすい。それでも外れることも多かった。たぶん出版業界って、他業種よりは休みが長い印象があった。もっとも出版社は休みが長いが、物流系、取次とか倉庫はけっこう早くから始動するなんてことも普通だった。そういう構造というか体質になっているというか。
旅行初日の三日、家を出たのも10時過ぎとのんびり。圏央道、小田原厚木道路と乗り継いでいく。もっとも妻が圏央道の海老名ジャンクションの手前でトイレに行きたくなり、海老名ICで下りたりもした。下りてすぐにコンビニとか探したけど、何もない。やや大きめの公園を見つけ、駐車場から車いす出してトイレに直行。ギリギリセーフだった。ここでもし失敗していたら、せっかくの旅行も台無しなってしまう。
箱根に着いたのは1時近く。箱根は前日から大学駅伝で賑わっていたようだが、我々が向かった頃には復路もすでに湘南から横浜にかかるくらいになっていたようで、駅伝の賑わいも交通規制もほとんど影響しなかた。
その日はポーラ美術館に行くだけで終わらせる。美術館の初詣はポーラ美術館。その感想はまた別の機会に。
美術館を閉館間際の5時少し前に出て、宿に直行。箱根の保養所は仙石原にあり、ポーラ美術館からは10分程度。いつも夕食の6時に間に合うか間に合わないかのギリギリでチェックインすること多いのだが、今回は結構余裕があったので、夕食前に自分だけだが、風呂に入ることができた。保養所の風呂は箱根なので、以前は温泉をひいていたのだけど、何年か前にそれがストップしてしまい、沸かし風呂になっている。もっともそういうのはあまり気にしない。
夕食は正月仕様でいつもよりもかなり豪華。これで6千円なのだから頭が下がる思い。もっともリタイア後も特退という身分で、高い保険料払っているので、このくらいの余得があってもいいかなと思ったりもする。夕食こんな感じ。

大観山
旅行二日目の四日。全国的には三が日明けの日曜日。おそらく正月休みはこの日までというところも多いのだろう。初詣は箱根神社にと思い行ってみると、神社通りの手前あたりからすでに大渋滞。箱根神社の駐車場に行きつくまで、けっこうな時間がかかりそうな感じだったのであっさり断念。T字路を左折して関所の方に向かう。
箱根神社はまあ何度も行ってるし、とりあえず初詣にと思っていたので、これは明日に持ち越し。そのまま少し山の方に走って大観山展望台に。この大観山という名称は、この地からの景色、芦ノ湖超しに見る富士山の景勝を横山大観がこよなく愛したことからつけられたという。そういえば大観といえば富士というくらい、たくさん富士の絵を描いている。
行ってみるとこんな感じ。

そしてジャジャーンと。

富士山の中腹あたりの窪んだところは宝永山。そして富士山の左側に遠く雪をかぶった連山がかすかに見える。よくわからないが多分南アルプスとかそのへんの連山だろうか。
さらにアップにしてみる。ドドーンと富士。

たしかにこういう風景、大観の絵にあったような。
大観山展望台からの景色、なかなかいい感じだ。とはいえ、このへんの展望スペースからはたいていこういう雄大な富士の姿を見ることができる。
芦ノ湖スカイライン
いつもは芦ノ湖の東側、湖尻から桃源台、箱根園、元箱根、関所あたりを車で動いていることが多い。西側はどうだったか。こちらは山の中を芦ノ湖スカイラインという有料道路が通っているだけ。通行料は千円也。これまで一度や二度は通ったことがあるとは思うのだけど、ほとんど行ったことがないので行ってみることに。
この芦ノ湖スカイラインにもあちこちに展望スペースがあり、東側は芦ノ湖が見えたり、西側には富士山が望めたり。途中の展望スペースから見た富士山は全面に裾野が広がる景色。

大観山から見える富士と基本は同じ(当たり前だ)。

中央左側の窪んでクレーターのようになっているのが、宝永山。1707年の宝永噴火でできた側火山。この大きなクレーター部分が吹き飛んだのだから、噴火はすさまじいものだったのだろう。降灰は二週間以上続いたという記録もある。
噴火のあった11月23日に先立つ10月4日には推定マグニチュード8.6-9クラスの宝永地震が起き、噴火の前後にはマグニチュード4~5クラスの地震が続いたという。これ以降、富士山の噴火はないということらしいが、今、この規模の大噴火が起きたらどんな被害になることやら。おそらく南海トラフとも関連付けられるのだろう。
観光浮かれ気分で眺めた富士山でも、宝永山のえぐれ方を目の当たりにすると、なんとなく血の気が引くような思いもした。
ラリック美術館
その後、仙石原に戻る。特に行く宛てものないので、湿性花園にも行ってみるかと思ったが、冬期は休園中とか。しかたなく近くにあるラリック美術館に行ってみることに。
ここに来たのは10年ぶりくらい。2015年に訪れた記録が残っている。そのときはヴィオラを弾きながら展示物を解説してくれるキレイなガイドさんがいたのを覚えている。
ルネ・ラリックは19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した工芸家。宝飾デザイン、香水瓶のデザインから室内装飾まで活動は多岐にわたる。いわゆるアール・ヌーヴォー、アール・デコの装飾文化を担った人だ。
同じ箱根にはポーラ美術館があり、そこでは化粧関係の工芸コレクションが多数ある。化粧箱、香水瓶などで、とくにエミール・ガレやドーム兄弟の作品がよく展示されている。これに対してラリック美術館では、ルネ・ラリックの作品に特化して展示構成されている。前回来た時は、何か企画展だったのか、ミュシャのポスターなども多数展示してあったと記憶している。今回は1点のみポスターがあった。
基本的にアール・デコ的な装飾工芸はあまり食指が動かない。ので、なんとなくキレイだなと思うだけでツラツラ流すように眺めて終了。ただしここのコレクションは半端なく盛り沢山なので、流して観ているだけでけっこうお腹いっぱいになる。
箱根は年に数回は訪れているけど、ここに次来るのはいつだろうか。そういうところ、けっこう多くて、宿からそれこそ歩いて行けるような距離にあるガラスの森美術館には、それこそもう20年近く行ってないかもしれない。



箱根神社
旅行最終日。前日のリベンジよろしく初詣のため箱根神社へ。
世間的には1月5日は仕事始めの月曜日。そこそこに観光客もいるけど、前日のように大渋滞ということもなく、すんなり駐車場に入ることもできた。いつもはやや下の方にある駐車場を案内されてそのまま車止めていた。でもそこから本殿に行くには、宝物館のエレベーターを使う必要がある。試しに駐車場の係の方に、車いす利用を告げると、一番上の神楽殿裏の第三駐車場を案内してくれた。ここだとすぐに本殿や九頭竜神社に車いすで進むことができる。

箱根神社とその横にある九頭竜神社、いずれもこじんまりとした社殿。考えてみれば、ここは去年の9月にも訪れている。ある意味お馴染みの場所。新年最初のお参りということで、いつものように妻と子どもの健康と幸福、自分ももう少しだけ健康でいさせてくださいとお祈りする。
成川美術館
初詣を済ませてから、神社通りを過ぎて元箱根方面に。すぐに左手にそれて成川美術館に行くことにする。

ここは主に戦後の日本画の秀作を多くコレクションしている。山本丘人、平山郁夫、加山又造などなど。そしてそれ以上に有名なのは入口から入ってそのまままっすぐ進んだところにある展望ラウンジ。眼下に見下ろす芦ノ湖、遠くの富士山、そして出航、到着を繰り返す遊覧船。その絶景スポットは外国観光客用のガイドなどにも多く紹介されているせいか、この美術館はなんとなく日本人よりも外国人の方が多いような印象さえ持ったりもする。
この美術館の今回の感想はまた別の機会に書けたらと思う。とりあえずお約束のラウンジからの景色を。天気は良かったのだが、残念ながら富士山の頂に雲がかかっている。

箱根大天狗山神社
早々に箱根を後にして、やや遅めになるけど昼食は小田原あたりでとろうかと思い、山を下ることに。箱根新道と並行して走る県道732号線を下っていくと、左手に大きな鳥居が見える。これまでも何度か見かけて気になっていたので、ちょっと寄ってみることにする。
名前も大天狗山神社とある。

鳥居の向こう、左側にはなぜか大仏像が。大仏は如来。鳥居=神社でなぜ大仏が。と、ここはいわゆる神道系の神社ではなく、神仏習合の新興宗教のよう。ちょっと怪しげというか。内部は撮影禁止なので、遠目からしか撮ることができない。
AIに聞いてみると、武田敏男という方が全国の山岳修行を経て1980年に創建したもので神仏金剛宗(神仏習合)。祀られているのは天中坊大天狗、天照大神、伊弉諾尊、釈迦如来他三十六万有余神・・・・・・、なんでもありだ。
しかし箱根の山の中にこれだけの施設が作られていることを思うと、なんというか人間の信仰心という業、宗教の闇みたいなものを感じざるを得ない。まああまり深く考えずに、いちおうお参りだけして退散することにした。


だるま料理店

小田原で老舗の天ぷら屋だるま料理店に。ここはいつもめちゃ込みなのだが、時間が2時を少し回ったくらいで、正月明けとはいえ月曜日。まったく混んでいなかった。
とはいえここの天丼もだんだんと値上がりしていた、たしか2500円くらいだったか。でもさほど美味いとは感じなくて、なんとなくこれならてんやでもいいかなと思えるくらい。大昔、多分20代の頃に先輩に連れられて入ったときにはけっこう感動したものだが。まあネットでの口コミもあまり評判が良くなかったりもする。
まあこのへんはあくまで個人の感想。とはいえけっして不味いとかそういうのではないのだけど、記憶された味みたいなものがあって、それと実際のリアルとのギャップがいささか微妙というか。まあこれはこっちも年とってるし、たまにしか来ないからなんとも。とりあえず何年かに一度訪れればいいかなと思ったりもした。
小田原城
3時半過ぎに観光バスとバイク、身障者用の駐車場である藤棚駐車場に。係の人に5時に閉鎖されるので、10分前くらいまで戻ってきてもらわないとと言われる。なので駆け足で天守閣まで行くことに。まずスロープ的な迂回路を通るのだが、これがけっこうな坂道。車いす押しているとかなり息が上がる。正直1時間で駐車場に帰ってこなくてはいけないというので、やめようと思ったのだが、妻が行きたいというので。
天守閣にたどり着いたので、ここも頑張って内部に入る。もう展示物などに目もくれずに一番上を目指す。とはいえ妻は当然のごとくゆっくり、ゆっくり。それでもなんとか最上階に上がり、市内を一望してすぐに降りる。





駐車場に戻ったのは4時45分くらい。ギリギリセーフで、待っていた係の人にお礼を行って車を出した。もう当分ここに来ることもないかもしれないなと思ったりもした。お城なんて、高齢者が行くところではなさそうだし。