川島を巡る(5月29日)

 木曜日は妻がデイサービスがお休みの日。

 ウィークデイでどこも空いていることが多いので、おでかけする頻度が高い。

 昼前に階下に降りると、妻はもうお出かけの準備ができている感じ。こちらはというと、前夜レポート作成とかで完徹した影響か、どこか体調がすぐれない。いい歳して徹夜なんかするものじゃないと、わかっていることなんだが。

 

すったてうどん

 遅めの朝食、あるいは早めの昼食も食べないで出かけることに。なんとなく「うどん」が食べたいなとそんな気分。なんで「」つきなんだ。この時期、「」のうどんとなると、やはり埼玉のソウルフード的な「すったてうどん」あたりになるか。

 そういえば、いつのまにか埼玉は「うどん県」となってしまったような。消費量も多いし、テレビでも香川のさぬきうどんを凌駕するかのような紹介のされ方がされている。でも、埼玉に住んでかれこれ30年になるけれど、うどん県とか、香川に対抗するとかは言い過ぎだとは思うよ、まあ香川県民は相手にもしていなさそうだ。せいぜい、埼玉県民はそこらへんの山田うどんでも食べていればいいのかもしれない。そういうものだ。

 すったてうどんは、田舎風のコシのあるうどんを冷えた呉汁(ごじる)で食べるもの。呉汁はすり潰した大豆と味噌を合わせたもの。これをたっぷりの薬味(細切りのきゅうりとぶつ切りのみょうが)と一緒に食べるもの。実はそれほどきちんと食べたことない。

   大昔、会社の大先輩で埼玉に住んでいる方の家にお伺いしたときに、ごちそうになったことがある。それがけっこう美味しかったというか。たしかその大先輩の実家だか、奥さんの実家がうどん屋だったとかそんな話を伺った。

 その時はまだ横浜に住んでいた。大先輩曰く「君、埼玉はこれだよ。すったてうどんだ」とのこと。もう30年以上前のことで、その時はよもや埼玉に住むなんて思いもよらなかった。意識的には埼玉くんだりみたいな感じだっただろうか。

 時は過ぎる。そういうものだ。あの大先輩はどうされているだろうか。以前、ご自宅を訪れたときは、もう自分のこともあまり覚えていないようなご様子だったから、おそらく今は施設にでも入っているか、まさかお亡くなりにはなっていないとは思うが、それでも90代になっていることは間違いないな。

 

 スマホで「川島 すったてうどん」と検索すると、最初にヒットするのが庄司というお店。ロードサイドにある細長いお店で、店内も細長いカウンターがある。一度、肉汁うどんを食べにいったことがある。車で15分かそこらで、行くとこれも細長い駐車場に1台分だけ空きがありすぐに入ることにした。

 そしてすぐに頼む、「すったってうどん」。

 

 自分はすったてうどん。妻は肉汁うどんにした。サイドメニュー的に揚げもちも。

 すったてうどんは、昔、大先輩の家で食べたものと同じ味だ。まあこれは当たり前か。呉汁は独特の風味で、そこそこにいける。食べながらも、この野趣たっぷりの田舎うどん、これはなんていうか、このコシなんだけど、これが微妙に自分には合わないなと、実は食べる度に感じている。コシと称するが、なんかボソボソじゃないかみたいな感想。なのにまた食べにくるのは、どこかクセになるっていうやつだろうか。

 自分はずっと関東住まいのはずなのだが、なんていうのか、ことうどんに関していうと、関西風の柔らかいうどんが好きだったりする。伊勢うどんのあのぐにゃぐにゃ感がけっこう好き。そして関西風のツルツルが一番好きだったり。なんたって、これまでに食べた一番美味いうどんが、大津の駅の中にある立ち食いうどんだったりするのだかた。これはもう30年以上前の出張中だった。そのときは四国と大阪、京都への出張だった。四国では香川できちんとしたさぬきうどんも食べている。でも、印象に残っているのは、なぜか大津の立ち食いうどんだ。

 今、チェーン店で関西風のうどんを食べるとなると、一番簡単なのはチェーン店のなか卯になるのだが、残念なことに住んでいる地域にはない。なので、もうはなまる、丸亀も、武蔵野、もちろん山田もいいから、一軒くらいなか卯に出店してもらいたいと、そんなことを思ったりもする。まあいいか。

 とりあえずすったてうどんは、まあまあ美味しくいただきました。ついでに妻が残した肉汁うどんの三分の一も食することに。妻は揚げもちでけっこうおなか一杯だそうな。

川島町

川島町 - Wikipedia

 話は前後するけど、川島町は埼玉県のほぼ中央に位置する町。荒川、支流の市野川、入間川都幾川、越辺川といった川に囲まれ、川越市上尾市桶川市、北本氏、吉見町、東松山に隣接している。そして埼玉県では、吉見町、三芳町松伏町東秩父村ととものに駅なしの町である。とにかくとんでもない田舎的雰囲気を醸し出す。

 実際行ってみると、主要道路はけっこう広いのだが、四方八方すべて田園地帯で、山や丘がない。平坦そのもので、西の方には秩父の山並みが見えるだけ。最初、ここを訪れたときは、ここは北海道かと思ったくらい。道路と四方の田んぼ以外になにもないところ。とにかく車がないと生活できない。埼玉の中央なのにと思ったりもする。

  会社勤めしているときに、社員で一人川島から通勤している人がいたが、けっこう朝早くに家を出て、バス乗り継いで来ていた。家は当然農家さんで、父親がペットで七面鳥を飼っていたとか、そんな話だった。「やっぱり、クリスマスのときには・・・・・・」というと、「やめてください、ペットです」と言下に否定されてたっけ。

 この川島町には、何度か訪れているのだけど遠山記念館という歴史的住居と日本庭園、コレクションを展示する美術館を併設したところがあり、何度か訪れている。こちらも田んぼの真ん中になぜか、立派な各式ある住居がある。

 あとは平成の森公園という大きな公園がある。ここのバラ園はけっこう有名で、ほぼ毎年訪れている。ちなみに川島町役場とこの平成の森公園の駐車場は広くて、わりと空いているので、子どもが免許取り立ての頃は車庫入れの練習をした。

 とにかくなにもない田んぼだけの町なのだが、町の中央を通っている圏央道と国道254号が交差するあたりに川島インターチェンジがあり、交通の便がいいということもあり、周辺には巨大倉庫がけっこうできている。ずいぶん前に、大型商品のために一時的に倉庫を探しているときに、出入りの物流会社にいろいろ相談したことがあったが、川島の倉庫の坪単価は、インターチェンジができてからえらく高くなったみたいな話を聞いたことがある。

 物流倉庫が以前は湾岸地域に集中していたのだが、東日本大震災でけっこう被害ができたため、埼玉にどんどん移設されていったという話もあった。たとえばAmazonも以前は市川の倉庫がメインだったが、震災を機にやはり埼玉に倉庫を新設した。たぶん今では、川越、川島、坂戸、狭山、久喜、加須などに大きな倉庫が10ヶ所くらいあるんじゃないかと思う。たぶん今後も川島には大きな流通団地、工業団地ができてくるのかもしれない。

田んぼのど真ん中カフェ

 すったてうどんを食べたので、今度はカフェでコーヒーでもとなる。例によって「川島 カフェ」で検索する。すると「けやき」というお店と「アスタリスク」というお店がヒットする。けやきは一度行ったことがあり、アスタリスクは以前探したのだが、住所でナビで検索していってみると、田んぼの真ん中で建物がなかった。今回は新しいナビなのでどうかと思ったが、やっぱり田んぼの真ん中で「目的地に到着しました」となう。仕方なく断念かと思ったのだが、あたりを少し走ると見つかった。

 

 なんとも落ち着いた、目立たないお店。小さな看板には、「コーヒー、ミュージック、ブック」とあったような。入ってみると小さな落ち着いたお店で、品の良さ気なご夫婦がやられている様子。

 食事はすったてうどんを食べたばかりなので、コーヒーとケーキのセットをいただくことにする。BGMはちょっとジョージ・ウィンストン風のピアノがかかっている。ブックはといと、店内に本棚がありそこには趣味のよさそうな本や画集が。

 自分はリンゴケーキ、妻はチョコレートケーキのそれぞれセット、そして本棚からワイエスとデヴィッド・ホックニーの画集などを引っ張り出して、眺めながらちょっとゆったりとした時間を過ごす。

 店内から裏庭の方を観ると、たぶんイングリッシュガーデン楓にあしらっている。

 

 滞在時間は1時間も満たなかったけれど、居心地は悪くない。まあたまに訪れるのもいいかもしれない。でも、自分らは比較的近い隣町で、車で来れるからいいけれど、このカフェはかなりアクセスにはハードルが高いなとは思った。

 まあ車で川島を訪れるなら、例えば遠山記念館に行くとかなら、その前後に寄るのはいいかもしれない。

ASTERISK*アスタリスク

埼玉平成の森公園

平成の森公園/ 川島町

 ここもよく訪れるところ。ちょっとした散歩にちょうどいい。広くて、のんびりしている。そしてここには「日本一の長いバラのトンネル」がある。なんでも全長340.5メートルとか。といってもいざトンネルの中を巡っていると、あまり長さとか感じることはない。たぶんバラに夢中でトンネルの長さとかあまり気にならないのだろう。

 バラは見頃時期は5月中旬~6月上旬とは一般的によく聞くのだけど、どうもちょうど良い時期というのに行き当たらないことが多い。去年、この公園を訪れたのはGWの頃で、早咲きのバラはけっこう見ごたえあったけれど、なんとなく全体として少し早いかなみたいな感じだった。

 そして今回はというと、5月下旬ということでちょうどいい時期かなとは思ったのだが、少し花びら散らしているものもあって、ちょっと盛り過ぎたみたいな感じもした。一週間早いともう少し「バラ、バラ、バラ」みたいな感じだっただろうか。

 それでも花は美しく、トンネルを巡り、夢中で花を愛でるような感じだった。

 

 
 
 
 

 モネは晩年に自宅にバラ園を作ったとかそんな話があったか。でも彼が描いたバラのトンネルは、おそらく白内障の影響なのか、個々のバラを判別できないような、様々な色が混ざり合い、どこか黒みがかかった混然一体となったものだった。それは来るべき抽象表現主義の画家たちに大きな影響を与えたともいわれている。

 自分も一度白内障の手術を受けているし、もっと歳がいけば視力も訪れてバラの園が混濁した色彩の塊のように見えることがあるかもしれない。まあそこまで長生きはきっとできないだろうとは思うが、なにか燃え上がるようなバラの花々の塊のような、そういうバラの園を見てみたいと思ったりもする。視覚効果によって、網膜の中で鮮やかな花びらが重なりあい、緑の葉と混然となるような、そんな風景。まあいいか。

 

 バラはある意味ちょうど見頃。そしてバラのトンネルの先にある菖蒲の池では、花菖蒲が満開に近づきつつある。これもまた見事。

 

 菖蒲の蕾って一本の棒みたいになっているの、初めて見たかもしれない。あるいは以前見たのを忘れているのか。

 

 まもなく梅雨入りになる。この日もけっこうどんよりとした空模様だったが、なんとか夕方までは雨も降らずで過ごせた。

 たまに何もない町、田んぼに囲まれたような町、川島を訪れて、うどんを食べ、カフェで落ち着いた時間を過ごし、そして花を巡る。こういうのもいいかもしれない。今回は遠山記念館はパスしたけど、なんでも5月31日から大河ドラマ「べらぼう」に合わせた江戸中期の作品展をやるとか。これもちょっと楽しみかもしれない。

遠山記念館_Toyama Kinenkan

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の放送に合わせ 江戸時代中期の作品を中心にご紹介!>

通期展示
・「染付水玉文皿」(景徳鎮窯) 明時代末-清時代初期 17世紀

(※1)前期展示5月31日(土)〜7月27日(日)
喜多川歌麿「夏姿美人図」 寛政6年(1794)頃 重要美術品
円山応挙「黄初平図」 安永6年(1777)

(※2)後期展示7月30日(水)〜9月21日(日)
・宮川長春「社頭春遊図」 江戸時代 18世紀 重要美術品
長沢芦雪「山姥図」 江戸時代 18世紀
・「薄紅麻地蘆に千鳥蛇篭模様帷子」 江戸時代後期 19世紀