子どもが休職するとか

 子どもが休職するという。

 先々週、ラインが入っていて、医者にかかったところ鬱状態だという。

 最近、連絡がないのでどうしてるのかと思っていたのだが、仕事が忙しくてという。なんでも6時定時で9時くらいまでが普通になっていて、なかには12時過ぎになることも多かったという。仕事はSEなので、まあよくあるブラックなのかもしれない。

 子どもに言わせると、仕事で遅くなるのもシンドイが、それ以上にしきる人がいない現場で、仕事のことで聞く相手もいない、質問してもなかなか返事が返ってこないということらしい。また同じチームの人があまり話がうまくないので、その人の仕事も肩代わりして納入先に説明したりする仕事も増えたとか。

 今は在宅勤務なので、すべてのやり取りが電話とチャットである。まだまだ半人前としては先輩に聞きながら仕事を覚える時期だが、それもほとんどがチャットでの対応となるとなかなか難しい。抱える仕事も増えるし、心理的負担も大きいのだろう。

 そのおかげで今まであまりやったことがない設計や仕様書作成などにも関わるようになってスキルはあがっているようだが、乗り切る前に身体がまいってしまったということか。

 とりあえず医師から診断書をもらって休職するようにアドバイスする。現役時代、何人か鬱の社員と関わってきた経験がある。本人判断や会社判断ではなく、とにかく専門家の判断に従う。多分大丈夫とか、いけるだろうで、病気が悪化したり、業務に支障が起きることは避けるようにということだっただろうか。

 本人、医師との面談も多数経験した。まあ会社側からの対応だから、一度病気となったら簡単には復職させないことや、医師からの就労可能の言質や診断書をもらうようにさせた。休職、復職後また病気が悪化して休職、そういうことの繰り返しだけは避けたいみたいな対応だっただろうか。

 何度かそういう対応が続くと、正直どこかで「どいつもこいつも簡単に病気になって」みたいな気持ちにならないでもなかった。まあ病んだ人の立場に100%寄り添うのは難しい。まして会社側としては利害が対立する部分もあるから。

 とはいえ自分の子どものことである。頑張れとは言わない。とにかく診断書をもらって休む。それが一番だとは思った。先方の会社としても診断書が出ていれば無理強いもできない。

 先週、子どもが「ちょっと寄るね」と家に帰って来た。久々だったのですき焼きをご馳走し、翌日は朝昼食事をして帰っていった。見た目は割と普通っぽい。まあ落ち込んだ状態でもなさそうだったし、顔色もさほど悪くない。とはいえ身体面では不整出血があったりとか諸々変調も出ているという。

 病気も悪化すると、血の気が引いたような青白い顔になったりもする。話もポツリポツリとみたいな。一度、病気になった部下の依頼で医師との三者面談に何度か行ったことがある。病院は精神病院で、全体の雰囲気もちょっとどよ~んとした感じで自分もどこか具合が悪くなるような気がした。診察室で医師と話をしながら、時々部下に話かけると、上の空でただただ青白い顔をしていた。そのことを思い出す。

 子どもは、医師からは「三か月の休職を要す」という診断書をもらったという。会社は一ヶ月くらいという風に言っているらしい。正直、あまり条件も良くない会社なので、そのまま辞めてもいいのではないかと思いそれを言うと、子どももそれを考えているという。

 ただし、三年以内に辞めると入社時の研修費用数十万円を返納するというのが労働契約にあるという。もうそれ自体がブラックな気もする。確か労基法の16条だったか、「賠償額の予定の禁止」条項なんていうのもあったような気もする。研修期間であればまだ理由にもなるが、入社して三年経ても研修費用の返還など、なにか足抜け禁止みたいでなにか本格的にブラックだ。

 まあいざとなったら、研修費用を支払ってでも辞めさせた方がいいかもしれない。本当に壊れる前に辞める、病気の原因をつぶしていく、多分それが悪化させないためには一番重要なのかもしれない。

 まあ会社には会社の理屈もあるだろう。ようやく戦力になりかけてきた時に移られては身もふたもないというのもある。でもそうであれば、労働条件や賃金の部分できちんと補償すべきことでもあるはずだ。

 子どもには、諸々大変かもしれないが辞める方向でいろいろ準備するように。そして休職中はそっちをメインにしてゆっくり休むように話した。

 親業はいつまでも続く・・・・・・。