禁じられた遊び

 Twitterで「覚え初めギター弾き語りは何」みたいなツィートがあった。こういうシチュエーションのやつだと思う。

「最近、ギター始めたんだ」

「じゃあ、何か弾いてみてよ」

 こういう時に初心者が弾くものって、今はなんなんだろう。

 ググれば、「初心者おすすめの〇〇曲」みたいなのがゴロゴロと出てくる。でもたいていは循環コードをジャカジャカさせる伴奏みたいなやつだ。

 もっと、メロディを奏でるようなものはないのかと思うのだが、どうなんだろう。

 自分らの頃はどうか。遠い目しながら振り返ってみる。いちおう50うん年前はギター少年だった。当初はクラシックギターにスティール弦張ってジャカジャカさせていた。でも「何かやってよ」と言われると、そういう伴奏系ではなくちょっとしんみりとして、聴く人には「オオッ」と反応される定番曲があった。

 それが「禁じられた遊び」である。

 もともとは映画のテーマ曲をスペインのギタリスト、ナルシソ・イエペスが演奏してヒットしたんだったか。しかし、今イエペスとかいっても反応する人は限られるだろうな。

禁じられた遊び - Wikipedia (閲覧:2022年11月8日)

ナルシソ・イエペス - Wikipedia (閲覧:2022年11月8日)

 

 でもって、この曲のさわりのところを弾くと、「オオッ」って反応されたんだな。

 とにかくこの曲の最初の部分はコード簡単、押さえるのも基本は1弦のみみたいなので、初心者ギター小僧はみんな弾いた。超初心者は最初の16小節だけ、ちょっと弾けるようになると転調した次の16小節も。まあたいていはこの転調部分で挫折するんだけど。

 タブ譜でみるとこんな感じか。うんうん、こんな感じだ。

 とはいえ、もうギターを弾かなくなってから20年近く経ってる。今、一応持ってるのは古いヤマハのフォーク・ギター一本。それももう5年近くケースから出していないような気がする。なので、今さら出して弾いてみようとは思わないし、多分指もまったく動かないと思う。

 昔々、まだギターをみんなが持つような時代じゃなかった頃、エレキギターベンチャーズビートルズ加山雄三グループサウンズあたりでなかなかまだ身近ではなかった。フォークはまだ四畳半フォークもなく、フォークギターも手に入りにくい時代。そういうのが1970年前後にあったような気がする。

 なので、まだまだ最初に買うギターはガット・ギター=クラシック・ギターだった。でもって、教則本とかにあるのは歌謡曲系かこのイエペスの「禁じられた遊び」あたりだったんだと思う。あとはクロード・チアリとかいうムード歌謡系のソロギターがあったか。

 でも、けっこうその手のソロギターは難しくて、結局は循環コードをジャカジャカさせたり、アルペジオで初期フォーク、そうだな「ドナドナ」あたりをハンマリング効かせてやったりしていた。下手な歌口ずさんだりしながら。

 それでもずっとギター弾いていればそこそこは上達する。なんだかんだで中1くらいから高3くらいまではやっていたから。なので、ちょっと弾いてよと言われれば、例の「禁じられた遊び」だけでなく映画音楽的なもの数曲弾けるようになっていたか。「白い恋人たち」とかそういう系のものだ。

 ナルシソ・イエペスについては、一応「アランフェス交響曲」や「アルハンブラの思い出」とか、有名どころは聴いた。「アランフェス」は有名な2楽章よりテンポの良い1楽章が好きだった。もっともこれを演奏するイエペスは超絶技巧的なので当然コピーしようなどとはゆめゆめ思わなかった。2楽章のさわりくらいはやったかもしれない。


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 いずれも50うん年前のことだ。そして今、ギターを弾いて人に聴かせるような曲は一曲もない。かってはかろうじて「禁じられた遊び」のさわり部分が弾けた。