7月の訃報

 7月に亡くなった人のことを順不同、思いつくままに書いてみる。

ボブ・ラファエルソン 7月23日死去

映画監督のボブ・ラフェルソンさん死去 ザ・モンキーズ結成に関与:朝日新聞デジタル

 米メディアによると、米国の映画監督、ボブ・ラフェルソンさんが23日、コロラド州の自宅で死去した。89歳だった。肺がんを患っていたという。

ロックバンドのザ・モンキーズの結成に関わり、映画「ザ・モンキーズ 恋の合言葉HEAD!」を監督した。他の監督作に「ファイブ・イージー・ピーセス」「郵便配達は二度ベルを鳴らす」など。

ボブ・ラフェルソン - Wikipedia

 新聞の訃報欄に出ていた。70年代アメリカン・ニューシネマ系の監督ということだが、考えてみると「ファイブ・イ-ジー・ピーセス」くらいしか観ていないかもしれない。自暴自棄なしょうもない男を演じたジャック・ニコルソン出世作か。カレン・ブラックが場末のウェイトレス役で出ていた。この人はこういう品のない中西部のねーちゃんやらせたら右に出るものがいないような気がした。

 訃報記事でラフェルソンがザ・モンキーズの結成に関わっていたことを始めて知った。バート・シュナイダーとラフェルソンの持ち込み企画だったという。ひょっとしたら、この二人がスティーブン・スティルスを落としてピーター・トークを採用したのかもしれない。

 シュナイダーはその後「イージー・ライダー」の制作に加わる。「ファイブ・イージー・ピーセス」のラフェルソンとともにアメリカン・ニューシネマを主導したメンバーということか。

 L.Q.ジョーンズ 7月9日死去

『ワイルドバンチ』L・Q・ジョーンズが死去、享年94歳 | BANG Showbiz Japanese

 サム・ペキンパー映画に多数出演、必ず途中で殺される小悪党役である。いろいろな映画に出演し、必ず殺されるそういう印象があるが、なんとなく覚えているのは」ジェーソン・ロバーツ主演の「砂漠の流れ者」か。ジェーソン・ロバーツを砂漠に置き去りにする二人組の一人で、なぜかジョーンズだけが殺される。

 L.Q.ジョーンズのLとQはなんの略称なのかとちょっとググったが、英語版ウィキペディアでも確認できなかった。ただ本名はジャスタス・エリス・マックイーン・ジュニアで、L.Q.ジョーンズはデビュー映画の役名で、本人はその役が気に入って芸名にしたという。

 94歳と長命、実践的メソジストにして共和党員。トランプ支持してそうなタイプだな。多分、クリント・イーストウッドとも親交あっただろうか。

ジェームズ・カーン 7月6日

米俳優ジェイムズ・カーンさん死去 「ゴッドファーザー」のソニー役 - BBCニュース

ジェームズ・カーン - Wikipedia

 ジェームズ・カーンが死んでいたのウィキディアの訃報2022年7月で知った。「ゴッドファーザー」のソニーである。偶然なんだろうが、つい数日前にアマゾンプライムで「ゴッドファーザー」を見たばかりだ。粗暴だが男気溢れるマフィアの二代目。すぐ頭に血が昇り思慮に足らない若者。その結果、非業の死を遂げる。彼が惨殺されるシーンは「俺たちに明日はない」のボニーとクライドの滅多打ちとともに映画史に残る。

 ジェームズ・カーンは「ゴッド・ファーザー」が出世作で、ほとんど人がこの映画で彼のことを知ったのだと思う。自分はというとなぜかその前から彼のことを知っていた。多分、ハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン主演の「エル・ドラド」で彼のことを認知したのだと思う。映画は「リオ・ブラボー」の完全な二番煎じで、ベテランガンマン役のジョン・ウェインは「リオ・ブラボー」の保安官そのまま。アル中の保安官ロバート・ミッチャムディーン・マーティンと被る。ジェームズ・カーンの役は「リオ・ブラボー」で若き早打ちガンマンを演じたリッキー・ネルソンの翻案だ。リッキー・ネルソンの役名がコロラドに対してジェームズ・カーンミシシッピー、いい加減だな。映画的にも「エル・ドラド」は「リオ・ブラボー」に比べて今一つだった。

 ジェームス・カーンは「ゴッド・ファーザー」での成功により一躍スターダムに上る。70年代には主演作もけっこう多かったと思う。印象に残っているのは、「シンデレラ・リバティ」、「ローラーボール」、「ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー」あたりだろうか。

 基本的には肉体派、アクション俳優というイメージで、演技力もさほどあるように見えなかったが、けっこういろいろな役柄を演じている。「ミザリー」でストーカー的な狂気の読者に監禁される流行作家役を演じていたし、あと「愛と哀しみのボレロ」ではグレン・ミラーをモデルにしたミュージシャン、ジャズバンドリーダーを演じていた。正直なところ「ジェームズ・カーン、似合わないな」と思った。

 個人的には自分が一番映画にのめり込んでいた10代の頃に活躍した俳優の一人であり、その訃報には淋しい思いがつのる。

高沢皓司 7月6日

ジャーナリストの高沢皓司さん死去 著書に日本人拉致扱った「宿命」:朝日新聞デジタル

高沢皓司 - Wikipedia

 赤軍派周辺にいたジャーナリスト、ライターという印象がある。この人のことは雑誌等で執筆した記事などで名前は知っていたが、多分きちんと読んだのは連合赤軍事件のことを綴った『兵士たちの闇』あたりからだろうか。

 多分、この人は68年~72年にかけての学生運動の洗礼を受けそこに拘り続けた人だったのではないかと思う。自分もある時期まではそこに拘り、その意味について拙くもJ考えていた時期がある。そのなかでこの人の著作もけっこう読んだ。

 あの激動の時代もすでに50年以上を経過している。もはや歴史のなかに数ページ記述される事項のようなものになってしまった。しかし現代史はいまだきちんとした通史として叙述されていないような気もしてならない。そして歴史論争についても低調だ。

 全共闘運動、学生運動の高揚とその稚拙にして絶望的な顛末。60年安保から80年代、あるいは前史としての50年代から、社会主義運動が死に絶える契機となったベルリンの壁崩壊に至る時代史としていえば、50年代から90年くらいまでを俯瞰するような歴史叙述をきちんと読んでみたいものだと思う。

 全共闘運動や赤軍派に拘ったライター高沢皓司がいたことを覚えていてもいいかもしれない。

山本コータロー 7月4日

フォーク・シンガーの山本コウタローさんが逝去。享年73歳 - TOWER RECORDS ONLINE

山本コウタロー - Wikipedia

 ソルティ・シュガーやウィーク・エンド、「走れコータロー」。一橋大出のインテリフォークシンガー。そんなイメージか。のちに環境学社会学で大学で教えることとなり、最終的な肩書は大学教授ということになっている。

 背が高く飄々としたイメージの人だが、この人はというとやはり70年代の深夜放送のDJということで覚えている部分が大きい。「パック・イン・ミュージック」だったと思うが、この人の放送は実はあまり聴いていなかったか。まあ70年代のサブカルチャー周辺で活躍した人だ。ヒット曲もデビュー曲のコミックソング「走れコータロー」や抒情フォーク的歌謡曲岬めぐり」などがある。

 

 7月8日暗殺された元首相のことは別に書いたし、その国葬や犯人の境遇や統一教会被害と自民党との関係など、現在進行中のこともあり、少し考えた事柄だ。その他では女優の島田陽子が亡くなったとも。かっての正統的な美人女優さんだった。

 

 まあ放っておいても人は死ぬ。自分が年老いていけばいくほど、見知った人々の訃報に接する機会も多くなる。いろいろと思うこともあるがご冥福を祈りたい。