富士美の常設展「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」も近代以降の展示がだいぶ変更になった。
西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで | 展覧会詳細 | 東京富士美術館
近代絵画から現代絵画のスペースが、長いことミニ企画等で使われ縮小していたのだが、これが完全に復活した感じである。特に現代絵画ではアンディ・ウォーホルの作品が一挙7点展示してあった。あの自画像を描いてもらったら後で請求書付きで作品が送られてきたというエピソードがある、日動画廊の長谷川智恵子氏のポートレートやフィギュアスケートのドロシー・ハミルのポートレートなども展示されていた。どうでもいいがドロシー・ハミルは1956年生、ため年だったり。
印象派など近代絵画ではベルト・モリゾの作品が2点展示してあった。
ベルト・モリゾの代表的なパステル画。第7回印象派展出品作品。モリゾは当初コローの指導を受け、のちにマネのモデルとなり絵の指導を受けている。なんとなくこの構図はコローの絵にもあるような気もしてくる。向きこそ違えど、同じ富士美収蔵の「もの思い」を想起したりする。
もの思い | ジャン=バティスト・カミーユ・コロー | 作品詳細 | 東京富士美術館
この少女のモデルは誰だろう。娘のジュリー・マネはまだ6歳かそこらである。おそらく姉の子どもあたりだろうか。
1877年第3回印象派展にモリゾが出品した12点のうちの1点で、批評家から賞賛されたという。前景のテラスで寛ぐ女性と俯瞰的に後景を見下ろす構図。どことなく前景と近景の対比には浮世絵的な部分も感じさせないでもない。モデルはモリゾの父方の親戚でこの別荘の持ち主であるリュシアン・ブルジエ夫人。
モリゾの2点は本当に久しぶりに観たような気がする。たぶん3年かそこらぶりかもしれない。モリゾの展示のあとはカサットの作品の展示(数点観たことがある)もあるかもしれない。
印象派の部屋はモネ、以前からピサロ、ヴーダン、ルノワール、マネなどが展示してあったが、今回はこれにベルト・モリゾとロワゾーが加わった。豊富な所蔵品があるだけに、こうして久しぶりの作品と対面できるのも嬉しい。
マイヨールのブロンズ像とその後ろにはモネ2点、ピサロ、ヴーダンが展示してある美しい間。ベンチでも用意してくれればずっといられる。
その次の現代の間には前述したウォーホルの他にもマン・レイ、エルンストなどの作品が展示してあるが、その中に久々にアンリ・ルバスクの作品があった。
ルバスクはポスト印象派の画家として位置付けられ、点描画法からフォーヴィズム的な色彩感覚豊かな作品を多い。モデルのマルト・ルバスクは一人娘だという。この作品を個人的にえらく気に入っている。まあその理由はきわめて個人的なもので、ある種の親バカの証明かもしれないが、うちの子どもとなんとなく顔立ちが似ていると密かに思っているから(アハハ)、である。