岩手のスターウォーズ

 昨日の朝日朝刊4面の記事に吹いた。

「最新3部作の中で、最初の3部作で主役だったルーク・スカイウォーカーや仲間たちは年を取り、後進の指導をする世代になっている」

 8月20日、達増拓也岩手県知事(57)の定例会見。岩手1区の情勢を聞かれた達増氏は突然、熱烈なファンを自認するスター・ウォーズを引き合いに出し、語り始めた。 

 記事にもあるように岩手は小沢一郎の「王国」である。そこで小沢氏の側に連なる原色知事達増氏が、岩手立憲の内紛を『スター・ウォーズ』に見立てて語ったという記事である。署名記事で記者の横山翼もなにかノリノリで書いているが、悪ノリ気味で正直この記事いるかという内容だ。

 もともと岩手は小沢氏の「王国」で、達増知事も小沢氏の誘いを受けて衆院選岩手1区から4期連続当選。その後、知事に転身した。その岩手1区の地盤を引き継いだのが立憲現職の階猛氏である。しかし小沢氏が旧民主党政権下に民主党から離脱して新党「国民の生活が第一」を立ち上げたときに、小沢氏と袂を分かち民主党に残留した。それにより小沢氏は激怒し、岩手1区には刺客として達増氏の妻を擁立したが階氏が勝利。以降、小沢氏、達増氏と階氏の間は断絶状態にある。

 さらに昨年、立憲と国民が合体して新立憲民主党が立ち上がった後で、小沢氏と階氏は同じ立憲所属となったが、しこりは残ったままで、小沢氏の影響化にある立憲県連と階氏の政治団体との間では、旧国民民主党との間で政治資金を巡るトラブルがあり、小沢氏側は階氏と係争中にある。

 そして現在、岩手1区については立憲本部は現職の階氏を公認する予定でいるが、小沢氏の影響化にある岩手県連は30代の女性フリーアナウンサーを公認候補として本部に上申することになっているという。

 こうした経緯の中で達増知事は定例記者会見の場で、自らをルーク・スカイウォーカー、女性フリーアナウンサーをレイにみたて、階氏を暗黒面に堕ちたカイロ・レンとしたのである。さらに達増知事は小沢一郎氏をルークの師匠であるヨーダとしたというのだ。

 こんなヨタ話を定例記者会見で語る知事も知事だが、それを記事にする記者も記者である。もう情けないというかなんというか。少なくとも次の総選挙で政権交代を目指し、少なくとも与野党伯仲状況を作りださなければいけない立憲民主党なのに、地方ではこんな内紛を抱えている。

 まあ小沢王国という岩手の特殊事情といってしまえばそれまでのことなのだろう。小沢氏は朝日新聞の取材に対して、「1区の対応で党本部から連絡がないとした上で『文句があるなら俺に言ってこい』と不快感を示した」という。

 小沢一郎氏は、政党を作っては壊しを繰り返し様々な政局に剛腕を発揮してきた実力政治家だが、年齢的には79歳になる。彼がヨーダ暗黒卿シスかは定かではないがそろそろリタイアしてもいいのかもしれないと思う。出来れば彼から生臭い話も含めて歴史の証人としての自伝を語り下ろして欲しいと思っているのだが。