水戸の茨城県近代美術館で開かれている「日本画の150年-明治から現代へ」が20日で終了となるというので行って来た。予約優先制ということで、前日、終電少し前の電車の中から予約を入れた。
地元から水戸までは圏央道、常磐道を乗り継いでいけば2時間くらいで行ける。モータリゼーションの恩恵といってしまえばそれまで。ただし高速代は片道4000円と少しかかる。
茨城県近代美術館では2Fで企画展、1Fで常設展となっているのだが、常設展は展示替えのため閉鎖中。6月22日から「日本の近代美術と茨城の作家たち 夏」が開催予定とか。常設展示では、五浦に一時日本美術院が移転し、横山大観、菱田春草、下村観山らが寄宿していたことなどもあり、彼らの作品も多数収蔵されている。また中村彝など茨城に所縁のある画家の絵も多数あるため、けっこう楽しみにしていたので、ちょっとがっかりした。
企画展「日本画の150年-明治から現代へ」は、所蔵品を中心にして日本画の流れを追うものとなっている。
第Ⅰ章 明治
第Ⅱ章 大正から昭和戦前
第Ⅳ章 昭和戦後から現代へ
展示作品が多いのは「第Ⅱ章大正から昭和戦前の部」と「第Ⅳ章昭和戦後から現代へ」で特にⅡ章には横山大観の大作『瀟湘八景』が展示されている他、茨城所縁のこの美術館が収集に力をいれている小川芋銭の作品も多数展示されている。これに対して「第Ⅲ章」は展示作品8点でやや微妙、さらに「第Ⅳ章昭和戦後から現代」はさながら院展の新作を集めたような印象があり、正直にいうと企画展としてまとまりに欠けるような気がした。ようはⅠ章からⅢ章までの流れとⅣ章とがちょっと分断されているような感じで、とても日本画の150年を俯瞰するような流れになっていない。ちょっと広げ過ぎたかなという感じだった。
個々の作品では菱田春草、横山大観の作品にこれぞ朦朧体みたいな作品があって、ちょっと勉強になったかなとは思った。
いわゆる面構シリーズの一つ。片岡球子は武将、禅僧、浮世絵師などの人となりをポートレイトとして描いた「面構」シリーズを描いている。歴史上の人物が現代に生きていたら、どんな行動をとるかという視点で、人物の肖像画や当時の風俗を参照しながら片岡自身の解釈を加えた作品ということらしい。
先週、伊勢の神宮美術館で同じような作品を観ていたので、なんとなく親和性が高かった。
その他ではポスターやチラシにも使われていた森田曠平『女神春秋花鎮め』はやはり見応えがあった。