神宮美術館・徴古館

 伊勢に来た時は内宮へ行くことが多く外宮へはあまり行かない。これまで5回訪れているが、外宮へ行ったのは1回だけ。今回はウィークデイということもあるし、内宮ですら人が少ないので、多分外宮も人はまばらだろうと伊勢市内に行ってみることにする。もう一つ、外宮の近くには伊勢神宮が有している美術館、博物館があるので、そちらにも行ってみることにした。まあ、こういう機会でもなければ多分来ることもないだろうし。

 まずは向かったのが神宮美術館。駐車場は美術館を通り過ぎた先にあるのだが、身障者用の駐車場は美術館の手前に4~5台停めるスペースが道路沿いに確保してあり、そこからは美術館や徴古館に徒歩1~2分程度で行くことができる。

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 整備された倭姫文化の森の中にある美術館で、1993年の第61回神宮四式年遷宮を記念してして創設された。著名な芸術家から献納された作品を収蔵展示している。

神宮美術館について|神宮の博物館

 設計は法政大学の市谷キャンパスなどを手掛けた大江宏で、彼は1989年に神宮美術館の開館を見ることなく亡くなっているため、ほぼ大江の遺作ともいわれている。

 建物は周囲の倭姫文化の森の景観とマッチしておて美しく、また内装もゆったりとしてある意味美術館としては理想的な雰囲気がある。ウィークデイの午前中ということもあり、観覧しているのは私と妻の二人だけ。なんとも贅沢な時間をゆったりとした気分で過ごした。

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 作品すべて奉納されたものなので、なんていうのだろう肩に力が入ったもの、力作、問題作みたいなものとは異質なものが多いような気もした。その分、リラックスして観ることができた。

ポートレート柳亭種彦|所蔵品(コレクション)|神宮美術館|神宮の博物館

朝日に匂ふ|所蔵品(コレクション)|神宮美術館|神宮の博物館

S夫人象|所蔵品(コレクション)|神宮美術館|神宮の博物館

跡|所蔵品(コレクション)|神宮美術館|神宮の博物館

 

 美術館の次にはすぐ近くにある徴古館にも足を運んだ。こちらは1909年(明治42年)に作られたルネッサンス式の建物で、伊勢神宮のおまつりで使用された祭器具や供え物に関する資料が収蔵展示されている。

神宮徴古館・農業館について|神宮の博物館

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 設計は当時宮廷建築の第一人者だった片山東熊。第二次世界大戦での空襲で大きな被害を受け1945年に建物は外壁を残すだけで炎上、所蔵品の多くも消失した。その後1953年の59回式年遷宮を記念して修復され、平屋建てから二階建ての今の形になったという。

 しかし歴史的建造物ということもあり、内部はバリアーだらけである。まず入ってから左側に向かい展示物を見ていく。その先には階段があり二階に上がる。二階も中央にちょっとした階段があり中央部分が少し盛り上がっている。それから右に進みまた階段を降りて下に戻るという形である。

 階段には手摺がきちんとあるので、妻は手摺を使いながら歩いて上り下りをする。自分が車椅子を畳んで運ぶということにしたが、常時車に積んでいる車椅子は16キロくらいあるのでけっこうシンドイ。もちろん妻もゆっくりと休み休みでしか上り下りができない。

 まあいくら歴史的建造物であるとはいえ、高齢化社会なので少しバリアフリーに配慮してもいいのではと思わないでもないのだが、由緒正しき日本神道の総本山は気位も高く、なかなかにハードルが高い。しかし上皇夫妻とか高齢の方がみえた時はどうするんだろうと、正しき臣民の一人としては心配になる。後付けでもいいからエレベーターとかは必須だろうとも思ったりもした。

 ここでは祭祀に関するものの展示がメインなのだが、奉納された美術品なども一部展示してあり、その中に川合玉堂の絵などもあった。

高嶺残雪|展示・所蔵品(コレクション)|神宮徴古館・農業館|神宮の博物館

 あとでHPを確認すると、大家の作品が多数収蔵されている。これらの多数を一挙に展示するようなコレクション展が開かれたらぜい観てみたいものだと思う。

展示・所蔵品(コレクション)|神宮徴古館・農業館|神宮の博物館