富岡製糸場

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 ステイホームしなくてはいけないのだがカミさんのお出かけ欲求にも応えたいし、地元を車椅子押して回り買物だけして帰るのもなんだし。そうなると近場で人があまりいなそうな所を探して出かけることになる。

 朝10時にカミさんが歯医者を予約していたので車椅子を押して送っていく。歯医者は近所なので車椅子を置いてから自分はいったん家に帰る。終わったら車で迎えに行くことにしたのだが、30分くらいで電話があり迎えに行く。それでどこへ行くかをちょっと思案した。

 そして今回は富岡製糸場。車でジャスト1時間くらいで行ける。カミさんが以前から行きたいと言ってたところだ。富岡製糸場は2013年に世界遺産に登録されていて、多分その頃は多くの人が訪れたのだろうが、すでに7年を経過している。多分、GW明けのウィークデイなので人少ないだろうと勝手に思ってみた。

富岡製糸場 | しるくるとみおか 富岡市観光ホームページ

富岡製糸場 - Wikipedia

 富岡製糸場についてはほとんど予備知識はない。戦前日本において生糸の輸出に占める割合は高く、ある意味養蚕業は基幹産業の一つである。そのため明治初期に官営工場として設立されたのが富岡製糸場だという。まあこのへんは遠い遠い昔に日本史の教科書とかに載ってたような記憶がある。当然その設立には明治初期の要人が関わっており、大隈重信伊藤博文、そして今大河ドラマになっている渋沢栄一などの名前が出てくるとか。

 まずは駐車場はというと、上州富岡駅の向こう側に大きな富岡駅東駐車場がありそこからは徒歩10分と少し。そして富岡製糸場から一番近い商店街の中に有料の市営駐車場がある。そちらを目指して行ってみるとそこはガラガラ状態。車椅子を押して製糸場までは5分もかからずに着く。そして場内に入るも人がいない。時間は12時少し前なんだが、自分たちと同じような観光客は数名、見渡す限りでも多分20人いるかいないか。ようは閑散としている。さすがにGW明けのウィークデイだ。

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 見学できるのは東置繭所と西置繭所の二カ所だけで中には製糸場の歴史を解説するパネルなどが多数あるが総じて地味である。まあ施設自体がレンガ作りで150年を経て保存されているということに素直に感動すべきなんだろうとは思う。

 赤レンガの建物はフランス積という珍しい工法で作らているのだとか。このフランス積みという言葉、どこかで聞いたことがあるなと思ったのだが、そういえば真鶴に行った時に赤レンガパークという所に寄った。そこには赤レンガ博物館があり、フランス積みやイギリス積みとかの解説があったようだ。具体的にはというとよく覚えていないけれど、大きなレンガと小さなレンガを同じ段で交互に積むのがフランス積み、それを一段ごとに積むのがイギリス積みだったか。まあ詳しくはこういうサイトがあって判りやすい。

煉瓦の積み方

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 西置繭所は二階にエレベーターで昇ることができる。構内は広くこの中に繭が袋に詰まって状態で保管されていたのかと思うと壮観である。この広いスペースは多目的での利用もされているという話もある。なんかリニューアルすれば美術館にでもできそうな趣がある。

 製糸場というとどうしても女工哀史的な世界、女性労働者が過酷な労働で搾取されるようなイメージがある。民営化以後、一日の労働時間は10時間くらいあったというので、現代の基準からすれば相当にしんどい労働集約型の現場だったのだろうとは思う。

 それでも『女工哀史』の舞台となった紡績工場などよりははるかに労働環境は良かったようで、女性労働者たちは女工ではなく工女と呼ばれていたという。まあ呼称を変えたから待遇が全然良かったとか、そういうことはないのだろうが、少なくとも当時の労働状況、特に女性労働者の環境としては比較的良かったようだ。

 富岡製糸場にいたのは正味で1時間半と少しくらい。帰りに土産物屋でかりんとう饅頭を買った。