玉堂美術館~紅白梅

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 青梅の御岳にある玉堂美術館に行ってきた。

玉堂美術館 Web :: 東京の奥多摩(青梅)にある美術館:: 日本画の川合玉堂作品を展示しております

 木曜日に山種美術館で「川合玉堂-山﨑種二が愛した日本画の巨匠-」を観てきた。売店で図録を買おうかと思ったのだが、今回の企画展の図録はないとのこと、その代わりということでもないのだが4年前に行われた企画展「川合玉堂-四季・人々・自然-」の図録があったので購入した。そこに尾形光琳かと思えるような金屏風に描かれた見事な紅白梅の屏風絵があり玉堂美術館所蔵ということだった。

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『紅白梅』

 玉堂美術館のサイトを調べるとちょうどこの屏風画が展示中ということでさっそく行ってみることにした。ちなみに受付で聞いてみると玉堂美術館収蔵の作品でも玉堂の代表作の一つということで、毎年春先に展示しているということだった。

 それにしても見事というしかない。1919年(大正8年)頃の作品で玉堂は46歳、長いキャリアの中では円熟期に入ろうという頃となる。図録の解説によると明治末から大正にかけて日本画家の間で琳派の模倣が流行った時期があるのだとか。その時流の中で玉堂も琳派の影響が濃い作画を行ったということらしい。まあ一見して尾形光琳の『紅白梅図屏風』を模しており、たらし込みによる幹や枝の描写など光琳の画風が再現されているという。特に右隻の幹の苔の描写などにそれが顕著だという。

 画題として右隻に老白梅、左隻には若い紅梅を視点の高さを変えて表現している。そうした受け売り的な知識は別にしても、この絵はとにかく観る者の意識を画面に惹きつける魅力を持った名品だと思った。

 春、桜の季節になると竹橋の近代美術館では玉堂の『行く春』が展示される。その少し前、梅の季節からはここ玉堂美術館でこの『紅白梅』を楽しむことができる。こういう風に季節ごとに大家の名品を観るというのも楽しいことである。あと何年玉堂の名品と共に春を感じることができるか、自分の年齢を考えると少しだけ淋しい思いもある。とはいえこういう風に絵と共に季節を味わうというのも新しい喜びだ。

 玉堂美術館を訪れたのは去年の秋についで二度目のことだが、季節の折々にここを訪れるのも新しい楽しみだと思った。

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