地震

 昨日は、久しぶりに大きな地震で驚いた。たまたま帰ってきていた子どもと二人で話をしている時で、「これはちょっとデカい」「ヤバいね」みたいな感じだった。感覚的には震度4以上、5弱くらいあるかとなどとも話をした。最初に緊急地震速報のあの嫌な警告音がスマホから流れ、それからじょじょに揺れが始まり、そしてかなり大きな横揺れがあり、長く揺れが続いた。その長さはちょっと10年前のそれを想起させるものだった。

 テレビをつけるとじょじょに各地の揺れの映像とともに震度も報道されはじめ、再び福島、宮城で震度6の大きな地震であることがわかった。そして当地の震度はというと震度4ということだった。

 そうしているうちに二階にいたカミさんも降りてきた。装具をつけるのに時間がかかったみたいだ。カミさんのことも見に行かないのはちょっと文句言われるかなとも思ったが、カミさんは「凄かったね」と言うだけで、二階の部屋も被害らしい被害はないという。それから一応、二階の自室、子どもの部屋、洗面とかを確認したがなにも被害はなし。しいていえばプリンタの上に無造作に置いたCDが数枚床に落ちた程度だった。

 10年前はどうだったかというと、あの時も自分の部屋はほとんど被害もなく、本棚もほとんどそのままだった。しいていえば子どもの机の棚のノート類がほとんど落下していたことくらいか。やっぱりあの時の地震は大きかった。ずっと職場にいて、全員外に避難していたのだが、あの揺れの大きさ、長さは、本当に生まれて初めて経験することだった。

 自分も家族も落ち着いていられたのは、やはり10年前の経験があったからだろうと思う。あの初めて体験した大きな揺れ。そして東北での大惨事。今回、津波がなかったのは震源が深かったからだという。もしもう少し浅い所で発生していたら、福島や宮城の沿岸ではまたあの悲劇が・・・・。

 さらにいえば耐震上弱い建物が前回の地震でみな倒壊していたということもあるのか、あまり全壊、半壊の建物は少ないらしい。死者も出ていないようなので、結局地震津波や火災といった複合要因の方が被害を拡大させるのかもしれない。

 朝日のデジタルに本の崩れた図書館の画像があった。

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 YouTubeにも動画がある。


震度6強 本が散乱した新地町図書館

 この画像、動画を見ると10年前の記憶が蘇ってくる。土曜日、一夜を会社で過ごした者たちが帰ったあと、自分は一人で倉庫に入って被害状況を確認しながらデジカメで記録して回った。棚の本はそれほど落下していなかったが、ペーパーバックでパレット管理している商品は軒並み崩れて、この画像のような状態だった。大きな被害があったのは2フロアー。

 他には10メートル近くある棚の上に置いたワンプ本(束になって梱包された)が落下してその下に簡易的作られた事務所の天井を突き破って床に落ちていたなんてこともあった。本は重いのである。

 その後、同僚を一人呼び出して、社員を何人呼び出して作業すればこの散乱した本を片付けて月曜からの営業が出来るかを相談し、すぐに10数名に連絡を取って翌日日曜日に作業を行った。崩れ落ちた本は台車やパレットにまとめておき、後で汚損本と使えるものを選別する。とりあえずすぐに出庫体制を整える、それがそのときの問題意識だった。

 しかし、月曜はというと電車は動かず、従業員も近隣の人間だけ、出荷先も機能しない状態でこんなことなら月曜から片付けやってもいいかとも思った。しかし被害も早急に算出するためにもあの片づけは間違ってはいなかったと思う。それからの一週間は東電の計画停電に振り回されて。

 実はあの時の原発の地獄のような状態が、自分の中ではまったく関心の外だった。ただただ仕事をうまく回すことだけに奔走していた。15日だったかの爆発の後は、風にのってかなりの放射能が首都圏にも流れてきたというのに。知人の中には真剣に家族を西に避難させようと考えていた人もいた。それなのに自分は。

 地震で崩れた本を見ると、あの時の苦い記憶が蘇ってくる。自分たちは10年前のあの大震災から何を学んだんだろう。