院展に行く

 横浜美術館の後、帰路に着くつもりだったのだが、カミさんが横浜駅界隈に行きたいといい出す。みなとみらいから横浜駅近辺はもう目と鼻の先みたいな感じなので行ってみることにする。横浜は街の変貌が著しく、大昔の土地勘ではいかんともし難いところもあるのだが、どうにかそごう地下の駐車場に着くことはできた。このあたり金港町だよな、みたいな感じでうろうろである。まあ横浜を出て25年以上になるのだから、このへんはいたし方ない。

 しかし東口から駅まで地下街もだいぶん変わってしまった。その分、そごうはなんとも昔ながらのデパートという感じである。以前からちょっと興味のあるそごう美術館に行ってみると「再興第105回院展」が行われていた。院展には以前から興味があったので入ってみることにした。

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院展/日本美術院ホームページ 公益財団法人日本美術院が主催運営している日本の公募展覧会(日本美術院展覧会) 再興院展、春の院展

 まずは大型の作品ばかりで、しかもその作品の量(84点)に驚く。これは軽い気持ちで入ってはだめ、もっと早い時間に来てじっくり観なくてはいけないと思いつつも、小1時間でさらっと流すようにして観た。全体として力量を感じさせる作品が多く、まあ考えてみれば多分ほとんどの作品がプロによるものなのだからと適当に思ってもみた。いずれにしろ、日本画の今を知るには一番の近道かもしれない。

 日本画の世界がどういうものかわからないが、師弟関係とか諸々あるのかもしれない。〇〇の孫弟子、曾孫弟子みたいなある種の家元的な技術、技法の伝承とかも当然のごとくあるだろうと思う。もともと狩野派だの琳派だのといった世界から派生しているのだから。いや、なにがいいたいかというと、それぞれの作品の中になんとなく巨匠のだれそれ風みたいなものを感じさせる作品も多数あったように思う。まあ例えばだけど平山風みたいな感じである。

 気になった作品はもう沢山あるのだけれど、その中から数点を。内閣総理大臣賞受賞作も見事なのだが、それらを超えて一番惹きつけられたのはこの作品。

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『音階』(岸野香)

 足立美術館賞受賞作だということだが、題材、色遣いなどなにか心に残る作品だ。タイのマーケットで見た光景がモチーフになっているということらしい。

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奥入瀬の秋』(那波多目功一)

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『華は根っこあってこそ-あしかがの大藤-』(西田俊英)

 題材はあしかがフラワーパークの大藤である。満開の大藤が画家の目と表現を通すとかくも鮮やかなものになるのかということを思い知らさせる。写実を超えた色彩美というところか。

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『昇陽』(手塚雄二)