山崎美術館と橋本雅邦

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 川越市役所に兄のことを相談に行こうと思っていたのだが、ちょうど着いたのが昼時だったので時間つぶしのために寄った。前からその存在は知っていたので一度来たいとは思っていたところ。

 こじんまりとした美術館で川越蔵造りの街並みの中にある。よくある観光地の小さな美術館といってしまえばそれまでのところ。料金も500円と規模からするとちょっと割高感もあるかもしれない。と、これは観光地のそういうものという前提でのこと。

 それに対して明治画壇の牽引車にして日本画近代化の第一人者、横山大観菱田春草らを指導した画家橋本雅邦の作品を常設展示しているとなると、ちょっと違った見方ができるかもしれない。橋本雅邦は幕末期に狩野派の流れを組む画家として、時代が移り変わるなか、狩野芳崖とともに日本画をリードした人であるし、とにかく画力に優れた人である。その作品がまとまって展示されているというのは嬉しい。

 小さな入り口を入り受付を超えると小部屋が二つあるが、そこには橋本作品とは違う陶磁器などが。そこをスルーして一番奥のやや広い部屋に橋本作品がある。両側に掛け軸が5~6点ずつ。一番奥には二曲一双の障屏画が。

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 真ん中の陳列ケースにはノリタケなどの美しい陶磁器が展示してある。

 橋本雅邦の作品はどれも見事で一見の価値あるものばかり。係の女性に聞くと2~3ヶ月に一度展示替えがあるとか。たまに訪れてみるのにちょうどいいかもしれない。イメージ的にはやや小ぶりながら、青梅の川合玉堂の美術館に近いだろうか。

 役所に行くまでのほんの少しの時間潰しだったが、十分な内容だったと思う。奥でお茶と和菓子のサービスみたいなものもあるようだが、時間がないのでそれは断った。この美術館を設立運営しているのは老舗の和菓子屋さんらしいので、実はこの美術館、お茶と和菓子がメインなのかもしれない。なので、自分のように絵を観てすっと帰っちゃうような客は珍しいのかも。

 橋本雅邦の略歴などが記された解説と共にこんな写真も展示してあった。まさに明治期日本画壇の歴史そのものである。

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