ボニー・レイット

 テデスキ・トラックス・バンドが好きとか、来日ライブには全部行っているとかいう話をすると、時々、それじゃボニー・レイットも好きでしょうみたいに聞かれることがある。たいていの場合、一応知っているけどあんまり聞かないみたいな話をする。正直ほとんど知らない。ここ4~5年だとYouTubeでときどきジャム・セッションやなんやの一人として出ているのを見たり、聞いたりくらい。

 それで改めてググってみるとキャリアの長い、ブルース・ロックの姉御、大御所に近い人だということがわかる。

 


Bonnie Raitt - Full Concert - 12/31/89 - Oakland Coliseum Arena (OFFICIAL)

 もう聴けば聴くほど、どストラークな感じ。なんで今まで、彼女の存在ってひっかかってこなかったのかという感じである。とにかくカッコいいし渋い。70年代から長く活動を続けてきた。ブルースライクでおまけにスライド・ギターの名手である。普通、ボトルネックは薬指か小指にはめて弾くんだけど、彼女は中指ではめる。その分、人差し指はもとより薬指、小指で抑えるなど、慣れないと指使い大変な感じである。

 太い声とスライド・ギターはまるで一人でテデスキ・トラックスの合わせ技をしている。声質もスーザン・テデスキとそっくりだけど、ボニー・レイットが本家であり、テデスキはデビュー当時、ボニー・レイットのコピー、再現みたいに言われることが多かったという。多分、本人もボニーをリスペクトし、フォロワーであったことは間違いないと思う。

 ボニー・レイットは70年代から活動を続け、一定の名声、評価を得ていたけれど、80年代に入ってレコード・セールスも落ち、低迷期が続いたという。そして89年に起死回生の大ヒット曲、大ヒットアルバムを出し、大復活を遂げる。それがこの曲「NIck of time」だ。


Bonnie Raitt - Nick Of Time

 これはもちろん聴いたことがある。そこでこの大ヒットアルバムを早速購入して通して聴いてみる。

Nick of Time

Nick of Time

  • アーティスト:Raitt, Bonnie
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD
 

  申し分のない完成されたアルバムだ。このとき彼女は40歳、まさに復活劇だったんだと思う。しかしキャリアの長いソロ・アーティストが、もちろんアル中、薬中といった負おキャリアも克服したうえで、中年期になって商業的に大成功をおさめる。アメリカの音楽業界でもあまりない例なのかもしれないが、奥の深さでもある。

 こういう孤高の女性ロック・アーティストの長いキャリアがあればこそ、例えばシェリル・クロウのようなスターが生まれる。スーザン・テデスキのようなアーティストが出てこれる土壌があるということなんでしょうね。

 ボニー・レイットは1949年生まれだから今年71歳。コロナとかの影響があるため今は大きな活動はしていないようだが、それまでは頻繁にライブ活動も続けているという。キャリア、年齢からすれば大御所なんだろうが、渋いロック・アーティストとしてまだしばらく現役で頑張ってほしいと思う。

 とりあえず『NIck of time』は愛聴盤として長く聴いていくと思うけど、彼女の長いキャリアも後追いで少しずつ追っていこうと思っている。