東京富士美術館(以下富士美)に行ってきた。木曜日はカミさんのデイが休みなので、なにか木曜日に何処かに行くのが恒例となりつつある。
富士美では企画展「THIS IS JAPOAN IN TOKYO~永遠の日本美術の名宝」が開かれている。この企画展には9月に一度訪れている。
展示は前期展示が9/1~10/18、後期展示が10/20~11/29までということで、まもなく終了となる。伊藤若冲の「象図」などは後期展示なので、開催中もう一度来たいとは思っていた。富士美は車だと圏央道を通って30分程度、ある意味家から一番近い美術館でもある。モータリゼーションの重要性というか有難みを感じるところだ。
圏央道あきる野インタで降りて、いつもだと新滝山街道に入るのだが、今日は昼食をとっていなかったのでトンネルの手前で旧道に入り、しばらく走って中村うどんではなく山田うどんを見つけて、割とヘビーな昼食をとる。
富士美はウィークデイということもあり、割と空いている。密を避けるという意味では、郊外や地方の美術館というのはお出かけにはうってつけかもしれない。とにかく人との接触はきわめて少ない。まあそれをいっては家に籠るのが一番ということになるのだろうけど。
企画展「永遠の日本美術の名宝」はやはり壮観ではある。富士美は西洋美術のコレクションが豊富なのだが、日本美術も膨大なコレクションがあることを改めて認識する。まずは多分後期展示の目玉作品と思われるものを。
これは多分何度か観ている。一番最初に観たのはやはり金沢の20世紀美術館での富士美コクション展だったか。これは若冲75歳の作品でデフォルメが効いている。若冲は10代の頃に、将軍に献上される象が長崎から江戸に運ばれるのを京都で観ているという。その時の記憶をともにだいたんデフォルメを効かせて、あたかも想像上の象のごとくに描いている。とにかくその巨大さを画面に押し込めるようにして表現している。ある種、奇想とされる表現の代名詞のような作品だ。
若冲とともに奇想の代表選手とされる曽我蕭白だ。奇抜な着想とグロテスクでダイナミックな表現が有名な人とされる。この人の作品は主に「奇想の系譜展」と「ボストン美術館展」で観たけれど、その時の大作に比べるとだいぶ大人しいというか、どちらかというとユーモラスな雰囲気だ。
江戸琳派の祖酒井抱一の後継者といわれる鈴木其一の作品。圧巻の作品だと思う。これが襖に描かれているというところがなんか凄いと思う。日本における絵画、美術は基本的に装飾画であり、家屋のインテリアの一つとして生成発展を遂げてきたということを改めて考えてみたくなる。
美しい富士の絵図だ。大観の富士はつとに有名だけど、こと美しさという点では橋本雅邦のそれが上回っていると思ったりもする。
仙台藩第7代藩主伊達重村の娘順姫が伊予宇和島藩第6代藩主伊達村壽に嫁いだ際に用いられたものとされている。豪華な外装、内装ではあるが、もしこの乗り物に乗って仙台から伊予まで揺られていったということになると、昔のお姫様もハードな旅を強いられたものだと思ったりもする。
その他では常設展はどこかに貸し出しているのか主要な有名どころの絵はあまりなく、例のナポレオンのコレクションやらイギリス風景画やルノワール数点、モネ1点などやウォーホールの作品などが代わり映えすることなく展示されている。この展示は夏ぐらいからずっと一緒なので、本当に主要な作品は貸し出されているのかもしれない。
しかし雰囲気は本当によく、静かで人も少なく、なんとも居心地がよい美術館である。
あと前回来たときに観た「ダ・ヴィンチ没後500年『夢の実現』展」も行われていた。こちらも11月29日までとか。ここではダ・ヴィンチの草稿にある設計図を基にした模型が面白かった。