山種美術館を出てからまだ2時半くらいだったので、もう一軒はしごするかということで、割と気軽に行けるところはと駅に向かう間思案。竹橋の近代美術館に行くことにする。スマホアプリで調べると日比谷線で茅場町まで行き、そこから東西線で竹橋ということになるという。しかし便利なものだ。
近代美術館(MOMAT)には7月に行っている。基本的にはその時の展示はあまり変わっていない。企画展のピーター・ドイグもやっていた。興味のある画家だし、絵はけっこう気に入っていたのだが、時間的にこれ観て常設展もというとちょっと足りないかなと思い、今回は常設展のみ。
常設展も7月の時とあまり変わりなく、特に4Fの展示はほとんど同じ。原田直次郎も岸田劉生、萬鉄五郎、鈴木春江、セザンヌ、アンリ・ルソーもみんな変わりなくというところだった。
レジェと東郷青児の2作を並べていたり、ハイライトの間でブラックと萬鉄五郎を並べるなど、キュビズムの理解と変容みたいな展示はちょっと面白いかなとも思った。
3Fの日本画の間は前回は横山大観や菱田春草らのちょっとした朦朧祭りみたいな感じだったが、今回はというと加山又造の大作『天の川』が目をひいた。
これはもう圧倒的な感じがある。しかし日本画の間はいつもと同じく静謐な空気が流れている。
この部屋の奥に久々大田聴雨の『星を見る女性』が展示されていた。この絵はもうこの美術館で3、4回観ていると思う。日本画、着物の女性たちと天体望遠鏡という異化効果が面白く、密かに清楚なリケジョと呼んでいる。


その他では2階で企画展として北脇昇の回顧展「北脇昇 一粒の種に宇宙を視る」をやっている。
1930年代から40年代にかけて京都で活躍した前衛画家ということだが、戦争の時代、前衛的作品を手掛ける画家の活動はけっこう制限的だったのではと思ったりもする。当時、多くの画家が戦争画によって戦争遂行に走る軍部や政府に協力していた。著名な大家もいくつもの戦争画を描いている。前衛画家による戦争画はどういうものになるのか、北脇は面白い作品を描いている。カエデの種を飛行機にみたてた作品だが、そこには戦争へのシュールリアリズムからアプローチすることで、単なる写実作品よりも意味性のあるものが生み出されている。