新しき村美術館へ行ってきた

 以前から道路に新しき村美術館という看板が出ているのは知っていた。

 先日、兄を埼玉医大に連れていくときに改めてその看板を目にして、今度行ってみようかと思っていた。

 数日前、カミさんが柚子うどんが食べたいという。以前、鶴ヶ島にあったおたかといううどん屋さんのことで、あっさりとしてちょっと柚子の風味がするうどんで、何度かカミさんとは行ったことがある。だいぶ前に店を閉めてしまったのだが、本店というのが毛呂山にあるという。もともとカミさんがデイケアで一緒になったおばあさんから教えてもらったとかいう。

 それで今日は昼飯にその店に行くことにした。毛呂山埼玉医大からだいぶ山の方に入ったところにある。まあナビがなければ絶対に行けないような場所だ。

柚子の郷製麺おたか本店 公式サイト

 ほんでもって久々に食したのがこれ。

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 やや遅めの昼食とってから、向かったのがその新しき村である。毛呂山埼玉医大から県道30号線を走って、日高の埼玉医大国際医療センターに向かう少し手前に看板が出ているので左に入る。少し狭い道を行くと八高線の踏切を渡る。そこからすぐのところに新しき村があり、公会堂という店舗兼集会所の斜め左に美術館がある。

美術館 - 一般財団法人 新しき村

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 館内には靴を脱いでスリッパをはいて入る。装具と杖のカミさんにはちょっと難儀なところだ。館内は他に観覧者もいずとにかく静か。静謐な雰囲気に包まれている。

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 館内はもう全編武者小路実篤ワールドである。壁にはお馴染みの絵や書が、陳列ケース内には実篤の著作や古い雑誌『白樺』などが展示してある。そして武者小路といえばこれである。もういろんなお店、特に各地の蕎麦屋とかでよく見かけるやつだ。

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 武者小路実篤の著作はほとんど読んでない。多分代表作『お目出たき人』『友情』あたりは読んでいるはずなんだが、ほとんど覚えていない。白樺派の中心的人物であり、同人には志賀直哉柳宗悦有島武郎、里見弴、長与善郎らが有名だ。それぞれ何作かは読んでいるけど、これもほとんど覚えていない。あとは個人主義、理想主義を志向したとか、このへんは高校の国語みたいなところの知識だ。あとは全般的にトルストイの影響を受けているとか。

 あと最近の興味でいえば、雑誌『白樺』は西洋美術を先駆的に紹介している。ロダンセザンヌゴッホらを当時の若者たちは、この雑誌に掲載されたモノクロの図録で知ったという話をいくつかの文献で読んでもいる。そうカラーではなくモノクロの図録なのである。そこから想像力をたくましくして大正から昭和の画学生たちは、西洋絵画を学び模倣した。そのことには、西洋美術を学ぶ若者たちのことには、ちょっとした感動を覚えるところもある。

 新しき村については武者小路がその理想主義を体現するために開いたということを、やはりどこかで読んで記憶していた。しかしそれが100年を経過してまな営まれていることにはちょっとした驚きである。近年は10名足らずの人しかいないことや、村民の高齢化が著しいともきく。それにしてもこの村は一歩中に入ると、そこだけ流れる時間が異なるような、一種異次元世界のような雰囲気である。

 それでいてソラーパネルが散見しているところがなんともぎくしゃくとしたイメージにも映るが、これはこれで時代ともいえるのかもしれない。多分、また来ることはないかもしれけど、この雰囲気はきらいじゃない。まあ車で30分足らずで行けるとこなので、ぶらりと寄ることもあるかもしれない。次はもう少し早い時間にきて、手作りの野菜とかを買うことができるばいいかなと思ったりもした。

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