今年は最低賃金が上がらない

 毎年、この時期になると最低賃金のことが気になってくる。中央最低賃金審議会の答申をもとに全国、各県別の最低賃金が決まる。それによって会社のパートさんの時給を決まってくるからだ。

 ここのところは毎年、最低賃金の上昇によってパートさんの時給も20~30円くらいは上げてきた。それとは別に一昨年だったか、有期雇用から無期転換したパートさんに対しては一気に50~60円アップさせて1000円にした。やはり有期と無期では違うという判断だった。それこそ清水の舞台から・・・・、違うか。まあセコい零細会社などでこれはもう精一杯というとこなのだが。それもそれ以降の最低賃金の上昇から、あんまり破格とはいえない状況になりつつある。

 政府もアベノミクスの成果を示すために最低賃金の毎年3%上昇を主導してきたのだが、今年は引き上げではなく現行水準の維持が「妥当」ということになった。新型コロナウイルスの影響で経済が打撃を受けるなかで、経営側は「最賃を上げれば中小企業を追い込む」として引き上げ凍結を主張したという。一方、労働者側は続いてきた賃上げの流れを止めないためにも引き上げを続けるべきだと主張した。

 結局、経営側の主張が勝ったということか。やはり新型コロナにより経済の影響ということで、それを覆すことができなかったということだ。しかしだ、新型コロナの影響は経営者だけが打撃を被っているのではない。そこで働く労働者たちはすでに賞与を大幅に減額されたり、ゼロになったりもしている。また非正規労働者は雇い止めの危機にさらされているのだ。

 ただでさえ日本の最低賃金主要先進国のなかではおそらく、いやまさに最低な状況にある。ここで毎年続けてきた上昇傾向の流れを断ち切っていいのだろうか。

 コロナの影響うんぬんということであれば、中小企業に対して国が手厚い補償をすればいいのだと思うし、大企業は少なくとも内部留保がある企業は従業員の賃金、あるいは下請け、孫請け企業のためにそれを吐き出すくらいのことが必要なのではないかと思う。

 労働者の賃金が上がれば必ずそれは消費に回る。経済が回っていくためには賃金上昇は必須なのだ。それがアベノミクス、もう遠い目をして口にするような感じだけど、その主眼としていたインフレターゲット2%上昇は、実はそういうことだったのではないかと思う。

 さて、最低賃金が据え置きされると多分、どの企業も右へ倣えとなるだろうことは簡単に想像できる。うちはどうするかな~と思う。多分、まもなく辞めちゃうんだけど、一応決定権は持っている。10円か20円は上げようかとなんとなく悪だくみしようかと思っている。多分、守りに入るだろう他の役員は据え置きとかにしたがるだろうけど。

 厳しい状況でも、少しでもアップさせる。そういうのはあまり意味がないかもしれないけど、まあ自己満足ではなくて、長い目でみて必要なことだと思うのだが。